2014-01-01から1年間の記事一覧

 小説に欠かせぬ3つの要素とは? ― 筒井康隆『創作の極意と掟』(評価・A)

創作の極意と掟作者: 筒井康隆出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/02/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (32件) を見る 小説に欠かせぬものと、やってはならないことはなにか? 古今東西の作品を引き合いに、筒井康隆がマジメに創作を語った一冊! …

 「死神」を主人公にした異色連作 ― 伊坂幸太郎『死神の精度』(評価・B)

死神の精度 (文春文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/02/08メディア: 文庫購入: 24人 クリック: 178回この商品を含むブログ (500件) を見る 死の予感をもたらす「死神」の現実化に成功した表題作と、 様々なジャンルに挑戦した習作…

 2014年5月4日新聞書評紹介ツイート

日曜の新聞には読書欄というものがあり、書評とともに書籍の紹介をしている。 このエントリイは、読売・朝日・日経の三紙の読書欄から、僕がピックアップして紹介したツイートを、商品購入のリンクを添えてまとめたものだ。 クール・ジャパンはなぜ嫌われる…

 三巻目も波乱なし ― 三上延『ビブリア古書堂の事件手帖3』(評価・B)

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)作者: 三上延出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス発売日: 2012/06/21メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 768回この商品を含むブログ (183件) を見る スッキリしすぎて読…

 狂気は言葉で引き出すことができるのか? ― 伊藤計劃『虐殺器官』(評価・A+)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)作者: 伊藤計劃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/02/10メディア: 文庫購入: 75人 クリック: 954回この商品を含むブログ (517件) を見る 人間には虐殺へと駆り立てる器官が存在する? 序盤のミリタリー小説臭さを抜きにすれば…

 「痛快」だが「痛切」ではない政治エンタメ小説 ― 池井戸潤『民王』(評価・B)

民王 (文春文庫)作者: 池井戸潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/06/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (19件) を見る 「半沢直樹」シリーズの作者が「政治」を描くとこうなる。 政治小説としての鋭さが欠けるのは「選挙戦」を書かなかったせいか…

 被災地で叫ばれる「二重住民登録」の可能性 ― 今井照『自治体再建』(評価・B)

自治体再建: 原発避難と「移動する村」 (ちくま新書)作者: 今井照出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/02/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る 住民への避難は、国よりも県よりも市町村が先に指示を出した。 原発避難の実例から、基礎…

 『マカロン大好きな女の子がどうにかこうにか千年生き続けるお話。』(評価・C)

マカロン大好きな女の子がどうにかこうにか千年生き続けるお話。 (MF文庫J)作者: からて,わんにゃんぷー出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2013/08/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (9件) を見る 約1000年間生きて、好物のマカロンを自作…

 2014年4月27日新聞書評紹介ツイート

日曜の新聞には読書欄というものがあり、評とともに書籍の紹介をしている。 このエントリイは、読売・朝日・日経の三紙の読書欄から、僕がピックアップして紹介したツイートを、商品購入のリンクを添えてまとめたものだ。 女のいない男たち作者: 村上春樹出…

 『ドーナツの穴だけ残して食べる方法』大阪大学ショセキカプロジェクト(評価・B)

ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義作者: 大阪大学ショセキカプロジェクト出版社/メーカー: 大阪大学出版会発売日: 2014/02/14メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (10件) を見る 答えのない奇問に、大…

 450年続いた日本独自の民俗宗教 ― 宮崎賢太郎『カクレキリシタンの実像』(評価・A)

カクレキリシタンの実像: 日本人のキリスト教理解と受容作者: 宮崎賢太郎出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 2014/01/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る 厳しい弾圧のなか、民俗宗教に変容した「キリシタン」信仰とは? 現地調査に基づ…

 2014年4月20日新聞書評紹介ツイート

日曜の新聞には読書欄というものがあり、評とともに書籍の紹介をしている。 このエントリイは、読売・朝日・日経の三紙の読書欄から、僕がピックアップして紹介したツイートを、商品購入のリンクを添えてまとめたものだ。 悪い奴ほど合理的―腐敗・暴力・貧困…

2014年3月に読んだ本まとめ

3月に読んだ本は10冊。そのうち、小説が5作品である。 もっとも印象に残った本は、一ノ瀬俊也『日本軍と日本兵 ― 米軍報告書は語る』(講談社現代新書)だった。米軍の言葉を借りるだけではなく、戦後から21世紀にわたるまでの豊富な史料を分析してきた…

 2014年4月13日新聞書評紹介ツイート

日曜の新聞には読書欄というものがあり、評とともに書籍の紹介をしている。 このエントリイは、読売・朝日・日経の三紙の読書欄から、僕がピックアップして紹介したツイートを、商品購入のリンクを添えてまとめたものだ。 ドリトル先生航海記 (新潮モダン・…

 2014年4月06日新聞書評紹介ツイート

日曜の新聞には読書欄というものがあり、評とともに書籍の紹介をしている。 このエントリイは、読売・朝日・日経の三紙の読書欄から、僕がピックアップして紹介したツイートを、商品購入のリンクを添えてまとめたものだ。 難病カルテ―患者たちのいま作者: 蒔…

 インド系ケニア人が語るアフリカ独立の影 ― M・G・ヴァッサンジ『ヴィクラム・ラルの狭間の世界』(評価・A+)

ヴィクラム・ラルの狭間の世界作者: M.G.ヴァッサンジ,小沢自然出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/01/31メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (5件) を見る 詐欺師と弾劾されたインド系ケニア人を語り手に、 アフリカ独立前後の格差社…

二度と戻れぬブラックホール観光ツアー! ― 二間瀬敏史『ブラックホールに近づいたらどうなるか?』(評価・C)

ブラックホールに近づいたらどうなるか?作者: 二間瀬敏史出版社/メーカー: さくら舎発売日: 2014/02/13メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (4件) を見る 親しみやすい文体とイラストで、3次元空間の限界《ブラックホール》に迫る。 日進…

死刑囚と向き合った僧侶の「現場の声」 ― 堀川惠子『教誨師』(評価・A+)

教誨師作者: 堀川惠子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/01/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 死刑囚と面会し、その処刑に立ち会う宗教者、教誨師。 その慎重な物言いから見える、死刑制度の「救い」のなさ。 教誨師(きょうかいし)…

 逃亡者に残された個人の強み ― 伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』(評価・A)

ゴールデンスランバー (新潮文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/11/29メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 214回この商品を含むブログ (186件) を見る 米国ケネディ大統領暗殺事件を大胆にも模倣! 首相暗殺犯に仕立てられた逃亡者に…

心理学者の強制収容所体験記 ― ∨・E・フランクル『夜と霧』(評価・S)

夜と霧 新版作者: ヴィクトール・E・フランクル,池田香代子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2002/11/06メディア: 単行本購入: 48人 クリック: 398回この商品を含むブログ (369件) を見る 極限状態の中で、人はどのように運命と向き合うべきか? 人間が生…

文学作品の二次創作の限界 ― 中島京子『女中譚』(評価・C)

女中譚 (朝日文庫)作者: 中島京子出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2013/03/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る 「女中」が主人公の文学作品を書き替えた二次創作中編集。 直木賞受賞作『小さいおうち』成功の叩き台となった失敗作。 …

古代史料の天文記事を読み解く ― 斉藤国治『星の古記録』(評価・B)

星の古記録 (岩波新書)作者: 斉藤国治出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1982/10/20メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る 星の動きから「天の啓示」を見きわめようとした陰陽師が残した記録とは? 古史料の天文記事を現代天文学で…

 恋を競う女子大生の友情を美しく描く ― 泉和良『私のおわり』(評価・A)

私のおわり (星海社FICTIONS)作者: 泉和良,huke出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/06/16メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 208回この商品を含むブログ (8件) を見る 同じ男に恋する女子大生の友情を、純度の高い美しさで描く。 男性作…

敵から見た日本軍の実像 ― 一ノ瀬俊也『日本軍と日本兵』(評価・A+)

日本軍と日本兵 米軍報告書は語る (講談社現代新書)作者: 一ノ瀬俊也出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/01/17メディア: 新書この商品を含むブログ (30件) を見る 組織戦に優れるが、自分で考える力を持たない「三流」の日本兵の実像とは? 敵の視点から日…

【感想】いとうせいこう『想像ラジオ』(評価・B)

想像ラジオ作者: いとうせいこう出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/03/02メディア: ハードカバー クリック: 4回この商品を含むブログ (88件) を見る 死者の恨み・生者の「罪の意識」をなぐさめる《鎮魂文学》 被災地を考えるのは重荷だと耳を閉ざし…

【感想まとめ】2014年2月に読んだ本の感想まとめ

日曜の新聞に掲載されている書評を書き写してみると、だいたい700〜800文字程度である。 文字数が少ないにこしたことはない。最後まで読む人が増えるし、誤字脱字のチェックの労力も減る。 書評ブログを目指すならば、一記事1,000文字以内という制限字数を設…

【感想】J・P・トゥーサン『浴室』 (評価・B)

浴室に出たり入ったりをくりかえす男の意味不明な物語 その不条理さは、カミュ『異邦人』と同じ「思考実験」なのか? 浴室 (集英社文庫)作者: J・P・トゥーサン,野崎歓出版社/メーカー: 集英社発売日: 1994/11/18メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 20回この…

【感想】虎虎『中二病でも恋がしたい! 2』 (評価・D)

七宮なんとかさん反省会開催のお知らせ あと、パロディはまどマギじゃなくて京アニ作品にしろ! 中二病でも恋がしたい! (2)作者: 虎虎,逢坂望美出版社/メーカー: 京都アニメーション発売日: 2011/12/28メディア: 文庫 クリック: 17回この商品を含むブログ (1…

【感想】レイ・ブラッドベリ『火星年代記』 (評価・A)

SF(スペース・ファンタジー)の可能性を切り開いた名作! あらすじを自分の言葉で書くだけでも楽しめる逸品! 火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)作者: レイブラッドベリ,Ray Bradbury,小笠原豊樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/07/10メディア: 文庫購…

【感想】中島京子『小さいおうち』 (評価・A+)

《女中》視点だからこそ描けた、昭和十年代の《東京モダン》 幻の東京五輪(1940年)と戦時下の窮状の息づかいが伝わる名作! 小さいおうち (文春文庫)作者: 中島京子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/12/04メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含む…