2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

 逃げるよりは死んだふり − 姉崎等・片山龍峯『クマにあったらどうするか?』(評価・A+)

クマにあったらどうするか: アイヌ民族最後の狩人 姉崎等 (ちくま文庫)作者: 姉崎等,片山龍峯出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/03/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (7件) を見る 「師匠はクマ」と語るアイヌ狩人のクマ対処策とは? 実用的すぎる…

 執拗な既成史観の否定と勇み足の結論 ― 呉座勇一『戦争の日本中世史』(評価・B−)

戦争の日本中世史: 「下剋上」は本当にあったのか (新潮選書)作者: 呉座勇一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/01/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る 戦後の「階級闘争」史観を否定すべく、様々な史料で検証した労作。 足利将軍の失…

 世界を救うか国を守るか ― トルーキン『指輪物語 第一部 旅の仲間』(評価・S)

新版 指輪物語〈1〉旅の仲間 上1 (評論社文庫)作者: J.R.R.トールキン,J.R.R. Tolkien,瀬田貞二,田中明子出版社/メーカー: 評論社発売日: 1992/07/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 31回この商品を含むブログ (95件) を見る ファンタジーRPGの原点は…

 アニメファンのオタク魂に熱をともす一冊! ― 『クール・ジャパンはなぜ嫌われるのか』(評価・A+)

クール・ジャパンはなぜ嫌われるのか - 「熱狂」と「冷笑」を超えて (中公新書ラクレ)作者: 三原龍太郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/04/09メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見る 海外での日本アニメ流行の実態は「コップの中の嵐」…

 2014年5月25日新聞書評紹介ツイート

日曜の新聞には読書欄というものがあり、書評とともに書籍の紹介をしている。 このエントリイは、読売・朝日・日経の三紙の読書欄から、僕がピックアップして紹介したツイートを、商品購入のリンクを添えてまとめたものだ。 本棚探偵最後の挨拶作者: 喜国雅…

 母と娘の対立を楽しみたい人だけ読め ― 三上延『ビブリア古書堂の事件手帖4』(評価・C−)

ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)作者: 三上延出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス発売日: 2013/02/22メディア: 文庫購入: 10人 クリック: 85回この商品を含むブログ (116件) を見る 乱歩ファンには失望を、…

 2014年5月18日新聞書評紹介ツイート

日曜の新聞には読書欄というものがあり、書評とともに書籍の紹介をしている。 このエントリイは、読売・朝日・日経の三紙の読書欄から、僕がピックアップして紹介したツイートを、商品購入のリンクを添えてまとめたものだ。 旧約聖書の謎 - 隠されたメッセー…

 「生き神」を崇拝する南アジアの信仰を紹介 ― 井田克征『世界を動かす聖者たち』(評価・A)

新書724世界を動かす聖者たち (平凡社新書)作者: 井田克征出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2014/03/14メディア: 新書この商品を含むブログを見る インドの仏教寺院には、背広姿の菩薩がいる? 初潮前の少女を神と崇める、ネパールの「クマリ」信仰とは? 南…

 「正しい」日本語にこだわるな! ― 今野真二『かなづかいの歴史』(評価・B)

かなづかいの歴史 - 日本語を書くということ (中公新書)作者: 今野真二出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/02/24メディア: 新書この商品を含むブログ (6件) を見る 平安時代から明治にかけて、かなづかいは揺れ続けてきた。 「他表記性」を失った日…

 日本兵捕虜はいかに堕落したか? ― 大岡昇平『俘虜記』(評価・S)

俘虜記 (新潮文庫)作者: 大岡昇平出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1967/08/14メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (41件) を見る 捕虜収容所内での日本兵は、盗みと賭博とオカマ演芸に夢中だった。 文学者だからこそ表現できた、堕…

 2014年5月11日新聞書評紹介ツイート

日曜の新聞には読書欄というものがあり、書評とともに書籍の紹介をしている。 このエントリイは、読売・朝日・日経の三紙の読書欄から、僕がピックアップして紹介したツイートを、商品購入のリンクを添えてまとめたものだ。 論文捏造 (中公新書ラクレ)作者: …

 シリーズの将来性を感じる変態コメディ第2弾! ― 伏見つかさ『エロマンガ先生 2』(評価・B+)

エロマンガ先生 (2) 妹と世界で一番面白い小説 (電撃文庫)作者: 伏見つかさ,かんざきひろ出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス発売日: 2014/05/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (21件) を見る 人気絵師である妹に「えっち」な絵を描…

 2014年4月ブログ書評まとめ

4月のブログ書評は10作。うち小説が6作で、再読作品が1作である。 もっとも印象に残ったのは『カクレキリシタンの実像』だ。禁教令により指導者を失った民衆が迫害に耐えながら信じたキリシタン信仰は、キリスト教とは別物の民俗宗教となったことが実例…

 これが小説の理想形だ! ― ガルシア・マルケス『百年の孤独』(評価・S+)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)作者: ガブリエルガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arquez,鼓直出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/12/01メディア: 単行本購入: 25人 クリック: 269回この商品を含むブログ (277件) を見る ノストラダムスも、吟…

 小説に欠かせぬ3つの要素とは? ― 筒井康隆『創作の極意と掟』(評価・A)

創作の極意と掟作者: 筒井康隆出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/02/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (32件) を見る 小説に欠かせぬものと、やってはならないことはなにか? 古今東西の作品を引き合いに、筒井康隆がマジメに創作を語った一冊! …

 「死神」を主人公にした異色連作 ― 伊坂幸太郎『死神の精度』(評価・B)

死神の精度 (文春文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/02/08メディア: 文庫購入: 24人 クリック: 178回この商品を含むブログ (500件) を見る 死の予感をもたらす「死神」の現実化に成功した表題作と、 様々なジャンルに挑戦した習作…

 2014年5月4日新聞書評紹介ツイート

日曜の新聞には読書欄というものがあり、書評とともに書籍の紹介をしている。 このエントリイは、読売・朝日・日経の三紙の読書欄から、僕がピックアップして紹介したツイートを、商品購入のリンクを添えてまとめたものだ。 クール・ジャパンはなぜ嫌われる…

 三巻目も波乱なし ― 三上延『ビブリア古書堂の事件手帖3』(評価・B)

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)作者: 三上延出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス発売日: 2012/06/21メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 768回この商品を含むブログ (183件) を見る スッキリしすぎて読…

 狂気は言葉で引き出すことができるのか? ― 伊藤計劃『虐殺器官』(評価・A+)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)作者: 伊藤計劃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/02/10メディア: 文庫購入: 75人 クリック: 954回この商品を含むブログ (517件) を見る 人間には虐殺へと駆り立てる器官が存在する? 序盤のミリタリー小説臭さを抜きにすれば…

 「痛快」だが「痛切」ではない政治エンタメ小説 ― 池井戸潤『民王』(評価・B)

民王 (文春文庫)作者: 池井戸潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/06/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (19件) を見る 「半沢直樹」シリーズの作者が「政治」を描くとこうなる。 政治小説としての鋭さが欠けるのは「選挙戦」を書かなかったせいか…