2016年ニコ動で流行したのは、あのアニメOPとあの二人組のデビュー曲?

 

 
 動画サイトに行くと、自分の好きなジャンルが世間の流行だと錯覚しそうになる。
 「あなたにオススメ動画」のせいだ。
 僕のページだと、動画配信者のほとんどがMinecraftをプレイしていると感じてしまう。
 Minecraft動画を見ていると、おすすめ動画がMinecraft関連で占められるようになるからだ。
 AI(人工知能)のフィルタリング機能の多用には、まったく困ったものである。
 
 
 さて、かつての動画サイトでは、フラッシュビデオ(FLV)形式で動画を配信していた。
 しかし、FLV形式には、どうしようもないセキュリティの脆弱性があり、ウィルスに弱い。
 だから、iPhoneを動かすiOSではそもそも起動できないようにした。
 Androidもフラッシュビデオの無効化を進めるようになった。
 結果として、スマホでFLV形式動画を見ることはできなくなっている。
 
 このFLVからHTML5への移行に成功したのがYoutube
 失敗したのがニコニコ動画などだ。
 ニコニコ動画でも移行を進めているが、ひどく使い勝手が悪い。
 専用アプリの評価も良くない。
 

評価3.4のニコ動アプリ(Android)
 
 こうして、スマホで動画を見る世代は、
最初からニコ動を相手にせず、Youtubeを楽しむようになった。
 やがて、パソコンで動画を見る世代も、気づけばニコニコ動画に活気がないことに気づくようになった。
 
 それを象徴するのが2016年に流行した2大コンテンツである。
 
 ニコニコ動画では、あるコンテンツが人気になるとその派生動画が大量生産される。
 しかし、最近のニコ動は「ランキングよりもあなたへのおすすめ動画を」というサイトデザインだ。
 ニコ動で何が流行しているのかを知らない人は多いだろう。
 
 では、2016年に、どんなコンテンツの派生動画が大量生産されたかというと――
 

 
 ドカベンのアニメOPと、
 

 
 COMPLEXのデビュー曲「BE MY BABY」である。
 
 そんなバカな! 今は2016年だぞ?
 そう驚く人がほとんどだろう。
 
 アニメ「ドカベン」が放送されたのは、1976年から1979年のこと。
 

ドカベン OP1 「がんばれドカベン」 - ニコニコ動画
 
 布袋寅泰と吉川晃司の二人組ユニットCOMPLEXが「BE MY BABY」でデビューしたのは、1989年。
 

Be My Baby(COMPLEX) - ニコニコ動画
 
 この2つのネタに敏感なのは、1970年代生まれであろう。
 アラサーではなくアラフォー世代だ。
 
 この「ドカベンOP」と「BE MY BABY」の何がウケたかといえば、次のニコニコ大百科の記事に詳しい。
 
ドカベニスト - ニコニコ大百科
BBEMYBABY - ニコニコ大百科
 
 諸悪の根源は、去年2015年12月24日に公開された「アイドルマスターシンデレラガールズ」合作動画である。
 
 「アイドルマスター」というゲームは、ニコニコ動画創成期から人気であった3大コンテンツの一つ。
(あと2つは「ボーカロイド」と何かである。何かというのは人によって変わる。テニミュだったり遊戯王であったり東方であったりレスリングシリーズであったり)
 「アイドルマスターシンデレラガールズ」はアニメ化したので、一般認知度は比較的高い。
 しかし、その合作動画は一般人の想像から大きく外れたものだった。
 

アイドルマスターシンデレラガールズ合作〜ありがとう!シンデレラ!〜 - ニコニコ動画
↑閲覧注意(真顔)
 
 ニコ動ユーザーからも「闇鍋」と称される、誰に向けたのかわからない意味不明なパロディ動画の数々。
 
 最初のパロディネタが「怪傑ズバット」(1977年放映)の時点で、大抵の人は逃げ出すだろう。
 
 それでも耐え抜いたものに待ち構えていたのが「BE MY BABY」地獄である。
 あまりにも強烈なインパクトを誇るだけでなく、忘れた頃に現れるこのパロディ動画に、ニコ動ユーザーの注目が集まり、それに味を占めた動画作者は、無謀にもそれ単体で動画を作ってしまう。
 

BEMYBABY by キャベツ - ニコニコ動画
 
 「クソコラ」としか言いようがない内容だが、再生数はなんと100万を突破している。
 「こんなものの何が面白いのか」と頭を抱えるあなたは、正常な神経の持ち主だ。
 
 いっぽうの「ドカベン」OPは、2016年以前にも使われていた。
 しかし、この「BE MY BABY」パロディ動画のパロディが多用したことにより、その認知度はニコ動ユーザーの中で加速した。
 「誰でもドカベンOPが再現できる」説明動画が人気を集めているぐらいである。
 

ドカベンの文字エフェクト - ニコニコ動画
↑60万再生を達成(2016年12月27日現在)
 
 そして、流行コンテンツの常として、ランキング動画も作られている。
 

月間BBEMYBABYランキング - ニコニコ大百科
 
 こんなネタが流行してしまうのが今のニコニコ動画
 スマホ世代には、使い勝手が悪いニコニコ動画よりもYoutubeで動画を見るのが当たり前になっているのだ。
 
 このまま、ニコニコ動画老害の巣窟となってしまうのか?
 かつて、ボーカロイドを爆発的に流行させたような魅力あるコンテンツがニコニコ動画から生まれることはあるのか?
 
 そんな2016年のニコ動の実態を知らせるべく、今回は「今年流行した2大コンテンツ」を紹介してみた。