フリーソフトの「ダンジョン探索RPG」傑作4選
「自由度と難易度が高め」のフリーRPG「魔王物語物語」をクリアした。プレイ時間は15〜20時間ぐらいだろうか。
(ゲーム内表示では9時間だが、その倍近くかかっていると思う)
RPGツクール作品だが、作者のゲームデザインが反映された独自性のある作品である。個人的には、作者の理想とするRPGが実現できるのならば、ツクール作品だろうが、そうでなかろうが、あまり関係ないと考える。ツクールの性能に頼りきった創造性のない作品が数多く公開されているのが現状だが、それだけがフリーRPGではない。
↑「魔王物語物語」の戦闘システムは、ハイスピードかつ連続性があるオリジナリティあふれたもの
この作品は「ダンジョン探索RPG」と分類していいだろう。「ダンジョン探索RPG」といえば、「トルネコ」や「シレン」のように、入るたびにマップがランダムで変化するRPGを想像されるかもしれないが、この「魔王物語物語」はそうではない。
ただし、下記の理由で「ダンジョン探索RPG」と呼ばれるにふさわしいと思う。
- 町から町へ、ではなく、ダンジョンからダンジョンへ。
- 「おつかいイベント」でダンジョンに潜るのではなく、「そこにあるから」ダンジョンに潜る。
- 強制イベントはきわめて少なく、キャラクタの寸劇よりも世界観で訴えるシナリオ。
- ダンジョンは広く、隠し扉の向こうには、高性能な武器防具類がある。レベルを上げなくても、お金がなくても、ダンジョンの奥にたどり着けば、主人公を強化できる。
- 戦闘はシンボルエンカウント。うまく操作すれば、無駄な戦闘を避けることができる。
RPGで作り手が避けなければならないことは、プレイヤが「逃げる」を連発して、戦闘を「障害」と見なしてしまうことである。この「魔王物語物語」は逃げることはできないが、熟練度上昇やアイテム取得という「目的ある戦闘」を楽しめるように工夫されている。
RPGが日本で人気のある理由は「主体性のある物語」だからだろう。もちろん、映像やキャラクタで勝負するRPGだって悪くはないが、プレイヤを受身にさせてしまっては「RPGらしさ」は損なわれる。キャラクタによる寸劇は、ともすれば、プレイヤにストレスをもたらすだけの結果に終わってしまう。
フリーソフトのRPGでは「魔王物語物語」以外にも、同じ系統の「ダンジョン探索RPG」がある。フリーソフトなので「一般受け」を目指す必要はなく、「売れる」ための小細工もいらない。もちろん、玉石混合で、「石」の方が圧倒的に多いのだが、やりごたえがあり、「RPGの本質的面白さ」に気づくことができる作品は、フリーソフトにだってある。
それでは、以下4作品を発表順に紹介しよう。どれも、フリーゲーム愛好家にはおなじみの人気作品ばかりなので、目新しさはないかもしれないが。
- ネフェシエル(RPGツクール2000作品)
数学的美しさすら漂わせるフリーゲームの金字塔
- イストワール(RPGツクール2000作品)
パセティックなダンジョン表現に成功したRPG