ダンジョン探索RPG(フリー)傑作選 「禁術と呼ばれる術」



タイトル:禁術と呼ばれる術
種別:フリーソフト
入手先:http://www.vector.co.jp/soft/win95/game/se077564.html
ジャンル:自由度のあるファンタジーRPG
作成ツール:RPGツクール95
クリア時間:6〜8時間
難易度:ふつう
【注意点】

  1. RPGツクール95作品は、XPやVistaでは、機種によっては正常に動作しないことがある。
  2. RPGツクール95作品は、実行ファイルを見つけにくい。今作は4000ものファイル群の中から、実行ファイル「RPG.EXE」を見つける必要がある

ゲーム内容



 タイトル画面を見ると「Normal Fantasy RPG」とある。
 オーソドックスなゲームデザインかと思いきや、かなりオリジナリティのある内容になっている。



 その特徴のひとつが、「敵のランク表示」
 E〜Sまで、モンスターはランクづけされていて、それが一目でわかるシステムになっている。



 戦闘は、敵シンボルと接触して始まる「シンボルエンカウント」方式。
 敵シンボルはボスをのぞき、ランク表示されている。



 わかりやすく拡大表示してみる。「C」と表記されているのがおわかりだろうか?



 今作には、多くの「クリアに必要ないダンジョン」が用意されている。
 町の地下もダンジョンになっているが、行かずともクリアできる。



 しかし、そこには様々な財宝が眠っている。
 そのアイテムを装備すると、攻撃力が3ケタ上昇したりする。
 すごい。半端ない。真面目に経験値稼ぎをするのが馬鹿らしくなる。



 もちろん、それ相応の武器の近くには、それ相応のランクの敵がいる。
 序盤からSランクの敵と戦うこともできる。



 だが、このゲーム、敵から逃げることはできない
 財宝目当てに、格上ランクのモンスターが徘徊するダンジョンに潜るのは、かなり危険な行為である。



 それでも、宝箱を目の前に撤退することは、冒険者にあるまじき行為。
 ハイリスク・ハイリターンで、ダンジョンを駆けぬけるのが、今作の醍醐味である。



 なお、敵シンボルは、倒すと消滅する。
 ランクAの敵がゴロゴロしている物騒な森も……



 主人公一行が張り切りすぎると、ごらんのとおり閑静な森に変身。



 基本的にストーリーは「封印迷宮」の奥へと潜ることで進行する。
 各階にはボスがいるが、秘宝などを入手していれば、ノーダメージで倒すことも可能。



 また、各階には、趣向をこらした仕掛けが用意されている。
 この謎解きは、インターネットで検索するほど難しいものではないが、闇雲に進むだけでは解けない。



 隠し通路や落とし穴もあるが、理不尽なものではない。
 注意深く歩いていれば、何かしらのしるしが見えるはず。



 魔法は「魔道斡旋所」で敵を倒すことで取得する(主人公二人のみ)
 こちらも、レベルやストーリー進行度は関係ないので、がんばって格上クラスの敵と戦うことをおすすめする。
 そうすれば、ダンジョン探索で、うっかり敵と接触してしまったときも、強力な全体魔法ですぐに倒すことができる。



 いちおう、フィールドマップはあるものの、町は一つだけである。
 フィールドマップには、これまた「クリアに関係ない」ダンジョンがある。
 下に見えるのが、その一つである「古墳」



 ランクSの敵が徘徊する難関ダンジョン「古墳」には、もちろん、貴重な財宝が数多く眠っている。
 早い段階で入手すれば、終盤まで一気にストーリーを進めることができるのだ。



 シナリオは「禁術」をテーマを一貫とした、矛盾のないもの。
 だんだんと主人公たちの素性が解明されていく構成は見事である。
 しかし、「いっぽうそのころ」イベントが少なくない。主人公以外の視点による強制イベントが多いのだ。
 序盤は、これらの強制イベントがストレスになるかもしれない。
 クリア後に改めて見ると、きちんと伏線が回収されていて、「なるほど」と納得できるものだが。



 1998年のゲームということで「萌え要素」がないのも良い。
 主人公「修次郎」とヒロイン「神楽」との寸劇は、20世紀の作品であることを教えてくれる。
 「萌え」と引き換えに、何か大切なものを我々は失ったような気がしてならない。



 その他、賞金首を探したりと、一つの町に限定しているからこそ、イベントが豊富に用意されている。
 このゲームの魅力は「見返りがケチケチしていない」こと。
 その報酬は、ゲームバランスが崩れるんじゃないかと思えるほどだ。
 だから「格上」とわかっていても、プレイヤは挑戦してしまうのである



 今作の作成ツール、RPGツクール95は、以降のシリーズに比べると、自由度が高いとはいえない。
 自分の理想とするゲームデザインを反映させることは難しく、似た外見・似たシステムの作品が多い。
 しかし、このゲームは「数多くのクリアに関係ないダンジョン」の存在と、「ランク表示をした敵キャラによるシンボルエンカウント」により、プレイヤに選択の幅を持たせることに成功した。
 「主体性のある戦闘」を楽しませることができたのだ。


 今作は、決して「ネフェシエル」に比べると「すごい」作品ではないのだが、エンターテイメント精神あふれる素晴らしい作品である。
 多くの市販RPGにはない「遊びがい」が、このゲームにはある。
 アマチュア作品ならではの魅力を、この「禁術と呼ばれる術」は教えてくれるはずだ。


タイトル:禁術と呼ばれる術
種別:フリーソフト
入手先:http://www.vector.co.jp/soft/win95/game/se077564.html
ジャンル:自由度のあるファンタジーRPG
作成ツール:RPGツクール95
クリア時間:6〜8時間
難易度:ふつう
【注意点】

  1. RPGツクール95作品は、XPやVistaでは、機種によっては正常に動作しないことがある。
  2. RPGツクール95作品は、実行ファイルを見つけにくい。今作は4000ものファイル群の中から、実行ファイル「RPG.EXE」を見つける必要がある