口蹄疫感染拡大は宮崎県の責任か? ―いま求められる冷静な行動
読売新聞のウェブサイトで、「口蹄疫をめぐる経緯」と題されたリストがあがっている。
しかし、それは、宮崎県に責任を転嫁するミスリードをねらったものか、口蹄疫に関する無知をさらけだしているとしか思えない代物である。
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20100518-OYT9I00147.htm
言うまでもなく、赤松農水大臣の現場視察の遅れは批判されてしかるべきである。
ただ、それよりも、感染が発覚した4月20日以前の項目が追加されていることに注目したい。
これでは、4月20日以前の宮崎県の対応に問題があるかのように見えてしまう。
しかし「注意喚起の通知」だけで、宮崎県に責任を嫁すことが許されるだろうか。
それならば、4月30日になっても、政府から宮崎県に消毒液が一箱も届かなかったのはどういうわけか。
⇒http://www.youtube.com/watch?v=UOSIYeXZIuA#t=8m57s
ウィルスの潜伏期間や症状のことを考えると、読売新聞のリストは、ミスリードをねらっているとしか思えない。
さて、東国原英夫・宮崎県知事は、自身のブログで次のような「お願い」を掲載している。
現場のリーダーからの提言として、ぜひとも、耳を傾けてほしい。
風評被害もさることながら、感染源や感染経路等に関する様々な噂(ゲナゲナ)話も飛び交っている。どうか、正確な情報に基づいて行動して頂きたい。
人に感染しないということで、安心されて、埋却作業を見学に来る人もいるらしい。そういうことは絶対に止めて頂きたい
http://ameblo.jp/higashi-blog/entry-10530013571.html
もう一度。
「感染源や感染経路等に関する様々な噂話も飛び交っている。どうか、正確な情報に基づいて行動して頂きたい。」
これが、現場の知事の痛切な願いである。
しかし、インターネット上のウワサ話のみならず、当事者である宮崎で、こんな「犯人探し」を思わせる記事が飛び交っている。
現場の疲労は蓄積し、殺気だっている。
この怒りが何かにつながるのではないか、と僕は恐れている。
さて、感染発覚以降、東国原知事は、ブログやtwitterを通じて、即時的に対策を公開してきた。
毎日のようにこういう開示をしなければならないのは本当に胸が痛む。が、正確な情報をあらゆるツールを使ってディスクローズすることは行政政治の責任・責務であると認識している。
http://ameblo.jp/higashi-blog/entry-10534594580.html
マスメディアが「風評被害を恐れる」ために「報道を自粛した」という現状では、我々はみずから情報を求めなければならない。
今後、宮崎県の対応の遅れを追求する動きが出てくると思うが、そのときは、知事のブログを参照にすればいいだろう。
それを読んでも、宮崎県の対応を批判できるほどの知識を持つ者がどれほどいるだろうか?
知事のtwitterでは、短い言葉ながら、本音がつぶやかれている。
http://twitter.com/higashitiji/
政府から、山田農水副大臣をトップとする政府対策チームが宮崎に来られるらしい。対策チームは、防疫強化、経済支援に取り組まれるらしい。それは有り難いが、具体的には何をされたいのか?今のところ、まだ見えない。
これこそ、民主政権が批判されるべき源泉ではないか。
野党時代からそうだったが、民主党の政治家の多くは、口先ばかりで、展望がまったく見えてこない弁明ばかりである。
「具体的政策」を打ち出さない民主政権への苛立ちが、人々を怒りに向かわせていることに、気づかないのだろうか。
もし、彼らに絶対的な政治経験がなかったとしても、それを実行するほどの手腕がなかったとしても、4月末の段階で、現場視察をしてさえいれば、みずからの権限で最善の努力をしたはずだと思う。
赤松農水大臣の「適切な処置をした」という弁明を聞き、現場はどう思っているだろうか。
なぜ、4月30日の時点で、与野党協力して、この対策に乗り出さなかったのか。
この事実だけでも、人々の財産を守るのに、民主政権がふさわしくないことは明らかである。
その上で、我々は様々な噂にだまされず、自分が何をすべきかを見きわめなければなるまい。
今回の口蹄疫感染問題で、マスメディアが信用に足る情報を提供しないことが明らかになったのだから。