ヴァーチャルボーイの失敗から15年。やはり、ニンテンドー3DSはスゴかった! ― デモ画面やプロモ紹介
・YouTube
6月15日から米国ロサンゼルスで開催されている「E3」(Electronic Entertainment Expo)にて、任天堂携帯ゲーム機新作「ニンテンドー3DS」の仕様とデモ動画が公開された。
上記動画はそのひとつ、「スマッシュブラザーズ」で知られる桜井政博プロジェクトチームによる「3DS」ソフト「新・光神話 パルテナの鏡」(Kid Icarus Uprising)のデモムービーである。
日本語によるデモ動画はこちらから。
⇒「新・光神話 パルテナの鏡」紹介ページ
携帯ハードとは思えない高解像度の描画に驚いた人が多いのではないか。
立体視が可能ということで、1995年に発売された「ヴァーチャルボーイ」の悪夢を想像していた人は多いだろう。
しかし「3DS」は、その失敗を教訓にして、進められたプロジェクトである。
「ニンテンドー3DS」は、ゲーム業界を危機に陥れている「マジコン」をねじ伏せるほどの高い機能をそなえた革新的ゲーム機であったのだ。
・Nintendo 3DS: Promo Trailer - E3 2010 - YouTube
こちらは、ニンテンドー3DSのプロモーションムービーである。
最初に登場するのが、岩田聡・任天堂社長。
つづいて出てくるのが、宮本茂・任天堂開発本部長だ。
任天堂を代表する、おなじみの二人である。
そんな二人が、ニンテンドー3DSをプレイしていると、うっかりゲーム画面の中に入ってしまった、という筋書きだ。
「クッパ」から逃げ回る二人の迫真の演技に注目。
特に、岩田社長はヒゲをつけて、右手を突き出してジャンプするなど、ノリノリである。
それを笑ってプレイするのが、レジー・フィーセメイ(Reggie Fils-Aime)米国任天堂社長。
この三人は「E3」に招待された人ならば誰もが知っている有名人物である。
任天堂の魅力は、このような小芝居を、会社のトップが喜んで演じている雰囲気作りにもあるだろう。
もちろん、こんなユーモアたっぷりのプロモだけでダマされるユーザではない。
今回のE3では、「ニンテンドー3DS」で発売予定の新作が、続々と発表された。
自信たっぷりに、参入サードパーティを紹介する岩田社長
レベルファイブは「レイトン教授」シリーズの新作を
スクウェア・エニックスは「キングダムハーツ」の3D版を
バンダイ・ナムコゲームスは「リッジレーサー」を
そして、会場内でも大きな拍手がわきおこった、コナミの「メタルギアソリッド」!
このほか、スクウェア・エニックスから「チョコボ・レーシング」
テクモ・コーエーから「デッド・オア・アライブ」新作
カプコンから「スーパー・ストリートファイターIV 3Dエディション」
などなど。
発売前から主流機となることが確実視されるほどの充実したラインアップである。
また、「3DS」の新機能も発表された。
注目すべきは「自動通信機能」だろう。
何ら操作を必要とせずに、スリープ中でも、データ受信・交換が可能になるという。
「3Dボリューム」というスイッチが搭載されることも判明した。
これにより、3D表示の立体深度をスムーズに変更できるということだから、目まいや頭痛を抑えながら長時間プレイするという心配もなさそうだ。
⇒ニンテンドー3DS仕様紹介
「マジコン」被害が相次ぐ中、ゲームメーカーは「ニンテンドー3DS」対応ソフトに集中するようになるだろう。
「3DS」だからこその面白さが、続々と発表されるに違いない。楽しみである。
一方の任天堂据え置きゲーム機である「Wii」についても、ゼルダの新作「Skyward Sword」の2011年発売が決定された。
ゼルダといえば、もちろん、この人。
そう、「ゼルダ」の生みの親、宮本茂である。こんな格好をするほどの張り切りようだ。
そんな宮本氏によるデモプレイがこちら。
ゼルダ新作にて、宮本氏はWiiリモコンでの「剣と盾のアクションを表現できた」と豪語している。
肝心のデモプレイは「あれ?」「あれれ?」を連発する不安の残るものだが、2011年完成の暁には、大人も子供も無邪気に剣を振り回すことができる新作ゼルダが届けられるはずだと僕は期待している。
「ニンテンドー3DS」といい、ゼルダ新作といい、任天堂は1995年の「ヴァーチャルボーイ」が目指していた、「ヴァーチャルリアリティ」を確実に実現しようとしている。
任天堂の失敗といわれる「ヴァーチャルボーイ」については、米国の人気動画シリーズ「The Angry Video Game Nerd」(略称「AVGN」、和訳すると「怒れるゲーヲタ」)がくわしく紹介している。
・AVGNがバーチャルボーイを遊ぶ(Ep42) by tosche ゲーム/動画 - ニコニコ動画
「ヴァーチャルボーイ」が失敗した理由は数多い。
赤と黒の画面には魅力が乏しかったこと。
自由な姿勢でプレイすることができない設計であること。
長時間のプレイが頭痛や目まいをもたらすこと。
(「3DS」のような立体深度を調整できるスイッチを備えてないこと)
ソフトのほとんどが「立体視」を活かしきれていないこと。
少なからずのソフトのクオリティが高いとはいえないこと。
そして、ソフトの絶対的少なさである。
良いゲームはあったものの、別に「ヴァーチャルボーイ」で出すことはなかったというのが、ゲーマーに共通する意見だろう。
そんな「ヴァーチャルボーイ」の失敗から15年。
今回の「ニンテンドー3DS」は、それを教訓に、同じ轍を踏まないように戦略が練られていると感じた。
ゲーム市場を破壊している「マジコン」被害から逃れるために、多くのゲームメーカーが「3DS」に殺到するのではないかと僕は予想する。
「ニンテンドー3DS」は今期中(2011年3月まで)に発売予定である。
はたして、「3DS」というハードから、新たなゲームの面白さは生まれるのか。
僕は期待していいと思う。