三上延『ビブリア古書堂の事件手帖2』 (評価・B)

 

 
 人気シリーズの「ビブリア」だが、第一巻では続編を予定していなかったはずだ。二巻に引き継いでいるのは、一巻では明らかにされなかったメインヒロインの母親ぐらいである。
 そのため、一巻に比べると、いささかミステリー要素の鮮やかさに欠ける。特に題材となっている古書のタイトルを見ただけで「分かる人には分かる」展開なのだ。
 
 
 ただし、今作では、完成度を重視したために書かれなかった「街の風景」がよく描かれていると感じた。舞台となっている「北鎌倉」の景色である。
 また、ヒロインの推理も、第一巻に見られた「よどみない」「無駄のない」ものではなくなっている。一巻に比べると、じっくりと読ませる展開になっている。
 
 さて、今作ではヒロインの小4のときの読書感想文が出てくる。たいした文章である。ついつい、自分のことを思い出してしまう。僕が小4のときの読書感想文は、先生から添削された部分がどうも納得しなかったものの言い返せずに泣きながら書いたのを覚えている。何しろ、クラスの代表として提出するためには、担任の添削に従わなければ許されないのだ。子どもの自主性なんて僕の育った田舎町ではクソみたいなものだった。そう考えると、このヒロインのように小4でも大人たちの干渉を受けない読書感想文が提出できるのはうらやましいかぎりだった。
 
 シリーズ二作目としては、ファンの期待を裏切らない出来ではないかと思う。ただし、このブログの感想文の短さが物語っているように、とりたてて書くことはない。評価はB。