自作紹介【やる夫が伊藤博文を暗殺したようです】

 
 
 伊藤博文を暗殺した安重根の実像を、やる夫AA物語で書いたものです。
 2010/04/16、ニュー速VIPに投稿しました。
 
【やる夫が伊藤博文を暗殺したようです】
http://www.geocities.jp/esukei4649/archive/yaruo/an/index.htm

 
※他者がまとめたエントリはこちら。
泳ぐやる夫シアター やる夫が伊藤博文を暗殺したようです
 
 2chのVIPに投稿するということで、かなり理論武装したのですが、反応はイマイチでした。
 やる夫AA物語にしては、エンターテイメント性に欠ける内容であったのかもしれません。
 それでも、安重根という人物については、日韓双方でいちじるしく評価の分かれる人物であり、史実を重視することを優先しました。
 
 
 さて、今作の主人公は、安重根ではなくて、検察官の溝渕孝雄です。
 彼は、安重根に自伝を書くようにすすめる一方で、死刑を求刑しました。
 旅順刑務所では、安重根に同情的な日本人が多かったのですが、担当検察官であった溝渕の尋問は、彼の自尊心を重んじながらも、その視野の狭さを鋭く指摘しています。
 
 今作では、最初に、安重根が「十五の大罪」を主張しています。
 これは、すべて事実に基づくものではなく、かなり脚色された内容なのですが、溝渕はそれを逐一指摘するようなことはしませんでした。
 あくまでも、安の主張を受け入れてみせながら、伊藤暗殺の非を説いています。
 
 これは、現在での日韓双方の歴史認識問題でも同じことがいえると思います。
 韓国では声の大きい者の意見が通りがちで、ゆえに、その場では圧倒されても、よく考えると間違った主張をしていることが、多々あります。
 そのおかげで、今では少なくない日本人が嫌韓感情を持つようになってしまいました。
 しかし、そんな韓国人に、過ちを逐一指摘することで、認識の溝は埋まるでしょうか。
 日韓併合前、安重根に対し、溝渕孝雄がどんな言葉を投げかけたのかは、現在の日韓問題を考えるうえでも重要なヒントになると思います。
 
 もちろん、その溝渕も「正しい」とは言えません。
 朝鮮半島から東アジアに進出した戦前の日本人は「民族すべてに平等な法治主義」こそが文明化であると考え、それを実践しました。
 しかし、安重根裁判には、外務大臣小村寿太郎の干渉がありました。
 司法の独立が侵害された、つまり、不当な裁判だったのです。
 日本人には、独特の「権威主義」があります。
 結局、溝渕らは東京の意向にさからえずに、それにしたがいます。
 このような「権威主義」は現在でも残っているのですが、日本人が思っている以上に、外国人は敏感です。
 
 もし、安重根の実像に興味があるかたは、ぜひとも読んでください。
 そして、彼を見る日本人の眼差しに、戦前に外地におもむいた日本人の心境を感じ取っていただきたいと思います。
  
【やる夫が伊藤博文を暗殺したようです】
http://www.geocities.jp/esukei4649/archive/yaruo/an/index.htm