地球が回っていることを説明してみた

 
 以下の記事が興味深かったので、自分なりにまとめてみた。
カオスちゃんねる : 面接官「地球が回っていることを小学生にどのように説明しますか?」
 
 「地球が回っている」というのは、自転をさすのか公転をさすのか。
 いずれにせよ「天動説」と「地動説」から語ってみるのがいいと思う。
 人類の歴史上、「望遠鏡の発明により、木星の衛星を発見したこと」が「地球が回っている」事実を知らしめたので、その経緯から語ればいいのではないか。
  
 ちなみに、世界が丸いことを証明したマゼラン一行の世界一周と、一年を365.2425日とするグレゴリオ暦の採用は、「地動説」を唱えるガリレオが異端とされるよりも、百年ばかり前の話である。一日や月の満ち欠けの正確な計測なんて、言うに及ばず。
 それらは、すべて「天動説」で証明できる。
 だから「地球が回っている」という証明にはならない。
 
 
<以下、具体的に書いてみた> 



 
 まず、最初に、生物としての人間は、数千年ぐらい進歩していない、ということ。
 だから、昔の人の思い込みや迷信というのは、人間としての感覚がもたらす認識の形の一つであって、その歴史を学ぶことで、人がいかにして「真理」に至ったかを知ることができるわけです。
 
 さて「地球が回っている」ことを世間に認めさせようとした科学者の一人が、ガリレオ・ガリレイです。彼は17世紀、つまり、数百年前の人物ですね。
 ガリレオが「地球が回っている」という『地動説』を唱えたため、宗教裁判にかけられたのは有名な話です。「地球が回っている」という「真理」が、異端とされたんです。
 しかし、ガリレオ以降の科学者は、『地動説』に基づき、どんどん宇宙の「真理」を解き明かしていきました。
 なお、人が宇宙に飛び出したのは、旧ソ連ガガーリンが最初です。20世紀半ばのことですね。
 だから、ガリレオたちの時代は、誰も地球が回っているところを目にしたわけではないのです。
 それなのに、科学者たちは、なぜ「地動説」に達することができたのか。
 それを可能にしたのが「望遠鏡」なのです。
 
 ところで、夜空で一番明るい星って、知ってますか?
 最近、星空を見ない人が増えました。そういう人はこう言います。
シリウスです! 学校でそう習いました」
 でも、正解じゃないですね。太陽と月をのぞいて、もっとも明るく見える星は、金星です。ついで、火星で、その次が木星シリウスはその次です。
 まあ、最近は、人工衛星が明るく見えたりすることもあるんですけれど。
 と、夜空を見る分には、シリウスも惑星も、明るい星のひとつなのですが、実は、古代の人は、シリウスと惑星を異なる種類の天体と区別してたんです。
 なぜだか、わかります?
 ヒントは名前。「惑星」って名前です。これ、ギリシア語が由来になってるんですが「惑(まど)う星」って意味。江戸時代には「遊星」とも呼ばれてました。
 つまり、よくわからない動きをするんです。今の人たちよりも、夜空を見ることに熱心だった古代の人たちは、この動きに疑問を持ちました。他の星たちは、星座にできるような、変わらぬ位置を保っているのに、なぜ、不規則な動きをする星があるのだろうか。
 この不規則な動きを、天動説に基づいて証明した一人が、プトレマイオスです。ローマ帝国時代の2世紀の天文学者です。
 このプトレマイオスの書いた「アルマゲスト」が認知されたのは、ローマ帝国ではなく、イスラム帝国の時代です。アラビア語に翻訳された「アルマゲスト」は絶対的な権威として、暗黒の中世を脱したキリスト教圏に輸入されたんです。
 なお、「アルマゲスト」は、世界が平面ではなく、球面であることも示しています。後にマゼラン一行の世界一周航海により、世界が丸いことが証明されました。
 それでも、「地球が動いている」という『地動説』に、人類が至ることはなかったんです。
 ちなみに、一年が365.25日であることを採用した「ユリウス暦」は紀元前一世紀に始まり、一年が365.2425日であるという「グレゴリオ暦」は16世紀に採用されました。
 マゼランの世界一周、グレゴリオ暦の採用、いずれもガリレオ以前です。つまり、この二つは「地球が動いている」という証明にはつながらなかったわけです。
 
 ところが、「望遠鏡」が発明されて、より精密な計測ができるようになってから、プトレマイオスの「アルマゲスト」が正しいか、科学者たちは疑問を持つようになったのです。
 その一人が、ガリレオ・ガリレイです。
 そんな彼が、歴史的な発見をするのです。
 それが「木星の衛星」です。
 
 なぜ、木星の衛星を見つけたことが、地球が動いているという証明につながるのか。
 パッと聞いただけでも、わからないかもしれません。
 でも、地球は動かず、他の星が地球の周りを回っているだけだ、と考えていた人たちにとって、その存在は、これまでの「天動説」の根底をくつがえすものでした。
 木星を中心とした星の存在は、地球が世界の中心だと信じきっていた、当時の常識をゆさぶったのです。
 その他、ガリレオが望遠鏡からのぞいた計測データは、地動説を裏付けるものばかりだったのです。
 
 そんなガリレオは、キリスト教の異端として裁かれます。
 これによって、キリスト教会を非科学的と批判する人も多いかもしれません。
 でも、待ってください。今、我々が使ってる「グレゴリオ暦」。そのグレゴリオって人は、ローマ教皇です。キリスト教のボスです。
 現在でも通用する、一年を365.2425日とする「グレゴリオ暦」を、16世紀、日本でいえば、安土桃山時代に、キリスト教会は採用したんです。
 それなのに「地動説」は認めなかったんです。
 それほど、「地球が回っている」ということは、人間にとって信じがたい真理だったのです。
 
 今では、そんな科学者たちの恩恵を、我々は受けて育っています。
 地球が太陽の周りを回っていることなんて、日本の小学生なら、誰でも知っています。
 でも、我々は数千年前と同じ、人間なのです。
 夜空を見て星座を探そうとして、ひときわ明るい惑星を「シリウス」だと勘違いしたり、地球が回っているのはウソで星が動いているのが本当だと信じるのが、フツーなのです。
 そんなときは歴史を調べてください。かつて、あなたと同じように考えていた人が大勢いたことを知るでしょう。
 そして、「真理」に至った人が、どのような努力をしたか。
 宇宙に出ずとも、望遠鏡という道具によって、ガリレオが「真理」を見ることはできました。
 どうか、疑問を持ち続けてください。そうすれば、あなたはより大切なことを学ぶことができます。