俺、カラオケで22曲を熱唱する(全曲解説つき)

 
 赤坂でのライブイベントのついでに登戸に来た友人tawalarとともに、カラオケに行った俺である。
 拙作フリゲ「放課後!」の男主人公は、音痴ゆえにカラオケ嫌いだが、俺は歌がヘタなくせに歌いたがり屋である。しかし、友達の少ない俺は、ここ数年、カラオケボックスに足を運ぶ機会がなかった。
 そんな俺にとって、tawalarは、カラオケ相手としては、もっとも気楽な友人である。理由は次の通り。
 
(1)曲がかぶらない
 ヤツは声が高く、女性ボーカルを歌えるが、俺は音域が狭く、女性ボーカルが歌えない。
あと、趣味もちがう。
 
(2)互いが何を歌っても気にしない
 無理に相手に合わせるような間柄ではないので、己の好きな曲をいくらでも歌える。ゆえに、トイレに行くのも、ドリンクバーを取りに行くのも、抵抗なくできる。
 
(3)曲予約が尽きない
 二人でカラオケに行くと、たいていは、どちらかが歌いっぱなしになることがあるが、俺とヤツとの場合、歌いたい曲が尽きることがないので、相手が歌い終わるまでに次の曲を入れることになる。だから、互いが知らない曲を歌っても気にしない。こっちはこっち、ヤツはヤツで好き勝手できるのだ。
 
 結果、3時間で俺は22曲を歌うことができた。ヤツも22曲ないしは23曲うたったと思う。それでいて、ほとんどの曲はフルコーラス歌ったのだから、どれほど充実していたかお分かりだろう。
 
 では、俺は22曲、何を歌ったかを、無駄に解説をつけながら紹介しよう。このリストを見れば、俺の世代や趣味、そして、性格をも知ることができるであろう。
 
 
1.オゾンのダンス/たま
 
 カラオケに行くことになったとき、俺が決意したのは『たま』を歌い倒そうという目論見だった。あの『さよなら人類』の『たま』である。
 『たま』を好きになったのは、ここ一年ぐらいで、つまり、カラオケで歌ったことはない。『夜のどん帳』や『学校にまにあわない』などは、ぜひとも、一度歌いたかったのである。
 ところが、数年ぶりのカラオケのせいか、全然音程がとれない。無論、tawalarは曲を知らないので、俺がヘタなことすら気づかないわけであるが、これはヤバいと、歌いなれた曲を選ぶことにした。
 
2.君をさがしている/佐野元春
 
 ということで、画面を見ずとも歌えるほど聴きこんだ佐野元春の曲である。この歌詞の「誰かに運命を綾まれてるような気がする」の「綾まれて」という表現は何なのか、未だに納得できる答えはないが、ともあれ、佐野の曲の中で、五本の指に入る代表曲であることはまちがいない。シングルカットされてないけれど。
 この曲は、「歌う」というより「語り」に近いので、音程が外れても、それっぽく語れば何とかなる曲である。これで、俺のテンションは高まった。さすが佐野。
 
3.たった一度のLOVE SONG/BOOWY
 
 最近、BOOWYをよく聴くようになり、改めて、氷室京介というボーカリストについて、いろいろ考えている。この曲は、BOOWYの未発表曲の一つで、最初に聞いたときは「お蔵入りも当然の曲だ」と思ったものだが、改めて聴くと「DAKARA」よりは、ずっといい。氷室のラブソングなんて腐るほどあるのだが、これを作った当時(MORAL時代)には、ラブソングなんてまったく歌ってないわけで、このフザけた調子も、「たった一度」というのも、氷室は本気だったわけだ。実際のところ、4人編成になったあとでも、この曲を歌ってたりするし(その頃の映像は、Youtubeに落ちている)
 氷室好みの緩急の激しい曲だが、それゆえに歌っていて心地良い。
 
4.路上のルール/尾崎豊
 
 ここでオッサン臭全開である。俺の尾崎のベスト3といえば『Freeze Moon』と『Drivin' All Night』と、この『路上のルール』である。特に俺の『Freeze Moon』の熱唱ぶりは、ジャイアンリサイタルに匹敵するほど、エネルギッシュなものだ。
 ただ、残念なことに、tawalarは尾崎仲間ではないので『Freeze Moon』は遠慮した。さすがの俺も、アウェイで、あの語りを歌いきる自信はない。
 とりあえず、尾崎の国宝級のシャウト「ヤオッ!」を叫んで満足した俺である。あれは断じて「Yeah!」ではなく「ヤオッ!」である。
 
5.もってけ! セーラーふく/らき☆すた主題歌
 
 そんなロックテイストあふれる俺を無視して、tawalarは自分の趣味を邁進していたのだが、この曲の前に歌ったのが、畑亜貴作詞の曲だった。俺とtawalarの中では、畑亜貴森雪之丞に並ぶ偉大な作詞家であり、それをリスペクトするべく、この曲をチョイス。
 こんな曲をまともに歌えるわけがなかったのだが、俺は俺なりに満足した。ロックテイストあふれるナンバーだし。
 
6.Brilliant Disguise/Bruce Springsteen
 
 ここらへんで、俺の今回のカラオケの主旨が決まった。各アーティスト一曲のみ、という縛りである。そこで、ブルース・スプリングスティーンの中で、もっとも日本人に知られてるであろうこの曲を。
 スプリングスティーンといえば「Born to Run」や「Hungry Heart」、そして「Born in the U.S.A」だろう、とファンは思われるだろうが、一般的にいえば、この曲が一番有名だろう。愛に迷う内面的な歌詞は、スプリングスティーン得意のロックからは遠く離れているが、それがゆえに、美しいメロディーをともなっている。あの痛々しい恋の破滅を描いたボブ・ディランの「血の轍/Blood on the tracks」が、名盤となっているのと同じように。
 
7.A horse with no name(名もなき馬)/America
 
 俺の洋楽タイムの始まりである。この曲のサビの「ラーラーラララ」のフレーズは、車か何かのCMで流れてたはずで、俺はずっと気になっていたのだが、最近になって、タイトルがわかって、それ以来、愛聴している。
 しかし、今回のジョイサウンドでは、なぜかサビの「ラーラーラララ」の字幕が表示されず、それゆえに、最後のサビは、後奏あつかいとなって、カットされちゃったのである。
(曲を多く歌うべく、俺とtawalarは後奏カットの設定をしていた)
 それは、日本や米国を核で灰燼に帰すと脅迫する北朝鮮に匹敵するぐらいの無慈悲であり、この曲以来、我々はその「無慈悲カット」に一喜一憂することになった。
 
8.風をあつめて/はっぴいえんど
 
 そんなわけで、洋楽タイムは終了である。俺、英語ヘタだし。
 とりあえず、これも最近になって聴きこむようになった。そのきっかけはよく覚えていないが、こういう正統派ロックなアレンジもできる細野晴臣は、やはりスゴい。
 まあ、どちらかといえば、作詞家としての松本隆出世作という位置づけだろうけど。「摩天楼の衣擦れが舗道をひたすのが見えた」という表現はすばらしい。意味不明なところが、実にディランっぽい。
 
9.1000のバイオリン/THE BLUE HEARTS
 
 俺はそれほどブルーハーツを聴いておらず、この曲を知ったのも、解散してからしばらくたってからである。ヒロトマーシーの曲はそれぞれ良いが、マーシーの文学な歌詞は、俺はかなり好きだ。
 まあ、この曲の冒頭「ヒマラヤほどの消しゴムひとつ」というレトリックよりも、「誰かに金を貸してた気がする。そんなことはもうどうでもいいのだ」というフレーズが好きだけど。
 
10.RAIN DOG/THE BLANKY JET CITY
 
 結局のところ、俺の「青春ソング」となると、ブランキーとミッシェルになるんだろうなと、この曲を歌いながら思った。この曲、聴くのも久々だったが、一気にテンションが上がった。このまま『PUNKY BAD HIP』から『Sweet Days』に至るまで、歌い倒そうと思ったぐらい。
 でも、JOYSOUNDは、あまり通好みの曲がない。ブランキーにしても「Bang!」とか「嘆きの白」とか、そこらへんはなかったと思う。
 
11.アウト・ブルーズ/ミッシェル・ガン・エレファント
 
 ミッシェルで一曲、となると、様々な可能性があるが、特に深く考えず、この曲をチョイス。ホントにどうでもいい歌詞で、とりあえず叫んどきゃ何とかなるところがいい。なお、JOYSOUNDでは、間奏部分の歌詞表示が適当で「Keep On rockin'!」のところ、つまり、この曲でもっとも盛り上がるところの歌詞が出てこなかった。そして、そこで、ライブのチバのように、ドアーズの「Break on through」を引用しようと思ったのだが、そんな芸当ができる俺ではなかった。
 
12.YAH YAH YAH(Stampバージョン)/CHAGE & ASKA
 
 誰もが知ってる「ヤーヤーヤー」の別バージョンである。
 いまだに、この「Stampバージョン」で肯定的な意見を目にしたことがないが、俺はこっちのほうが好きである。こっちのほうがロックだろ、常識的に考えて。
 なお、無慈悲カットは、この「ヤーヤーヤー」ではされなかった。「A horse with no name」のサビはカットされたのに、なぜだ?
 
13.BIG TIME CHANGES/聖飢魔II
 
 うーん、この曲はミスチョイスだった。聖飢魔IIならば、空耳ヘヴィメタ「不思議な第三惑星」を歌うべきだったと思う。JOYSOUNDには入ってなかったかもしれないけど。
 
14.KOME KOME WAR/米米CLUB
 
 そういや、80年代のSONYの色物バンドといえば「聖飢魔II米米CLUB爆風スランプ」だったよなあ、と、謎の雑学を思いだしつつ、歌うよりも聴きたくて入れてみた。この曲の歌詞は、デタラメなカタカナだが、その中にバブリーな香りが満ちているところが面白い。バブルな時代、人が何を考えていたのかを知りたければ、当時の流行歌を聴いてみればいいと思う。
 
15.Power is the Best(パワー忍者です)/テニスの王子様ミュージカル
 
 続けて、爆風スランプの「無理だ!」を入れるはずだったのだが、ふと、テニミュの曲が入っているのではないかと思いあらためて、この曲を入れてみた。
 テニミュの曲では「大石のテリトリー」「バイ菌おー」が好きである。特に「バイ菌おー」を歌ってる役者が淫行で逮捕されたときの空耳は面白かった。嗚呼、そのときの俺は、ニコニコ動画のプレミアム会員だった。
 ここで、俺のニコ厨魂に火がつき、ついに、ボーカロイドの曲を歌う決意をする。
 
16.すすす、すき。だあいすき/ジェバンニP
 
 ボーカロイドで歌うとなれば、やはり、ジェバンニPこと、アンディー・メンテのジスカルドの楽曲でなければなるまい、と考えて、この曲を。
 でも、オトコが歌うと気持ち悪いことこの上ない。特に最後の「スーパーごめんタイム」なんて、リアル女子が歌っても、相当にキモい。やはり、ボーカロイドだからこそ許される歌詞というのがあるのだ。いやいや、ジスカルドさんの歌詞がキモいってことじゃなくてですね、俺だって「暗黒猫軍団」とか「ばかばかばかの魔法」とか「教祖まゆみ様誕生」とかがカラオケであったら、喜んで歌ってますよ、ということです(AMファンへの弁解)
 しかし、俺がニコ厨時代にもっとも聴きこんだのは、隆志の「シコシコ動画」なので、「メルト」の替え歌の「ソルト」ぐらいは歌っておけば良かったなあ、と今、後悔している。
 
17.流れ星ビバップ小沢健二
 
 口直し、ということで、小沢の曲で五番目ぐらいに好きなこの曲を。いやー、この曲を聴いてた頃は「オザケンが本気でヒップホップをやったら、日本中が震撼するぞ」と思ったものですよ。まさか、あんなクソ曲(「Buddy」)だったとはね。女性ファンはともかく、男性ファンの多くは、「Buddy」に「ヘコー」となっただろう。
 
18.壊れかけのRadio/徳永英明
 
 ここで、替え歌をうたいたくなったので、徳永の代表曲を。この曲を、俺と先輩のかけっぱさんは、当時バイトをしていたコンビニの同僚である「YAMAJI」さんを歌った「壊れかけのYamaji」という替え歌にしてしまったのだ。
 サビの部分の「思春期に少年から大人にかわる」のところを「夏休み、週3から週6にかわる」としたのは、我ながら見事だと思う。いや、作ったのは、かけっぱさんのほうだったっけ?
 とにかく、YAMAJIさんは、レジが苦手という、コンビニ店員としては致命的な欠陥を抱えていて、それがゆえに、俺はレジを担当することを言い訳に、面倒な仕事を全部YAMAJIさんに任せていた。なにしろ、ファーストフード調理で使う包丁をにぎりながら「アイツら(お客様のこと)に刺したくなりません?」と、恐ろしい発言をしたりする店員だったのだ、YAMAJIさんは。
 あと、「何か聞こえませんか?」「……なにも」「ああ、幻聴でしたか」などの怪しい発言を連発したりと、いろいろとヤバかったYAMAJIさん。今は何をしているのだろう。
 
19.Self ControlTM NETWORK
 
 この曲も、替え歌を作っていた。身内にしかわからないネタなんだけど、tawalarとは多いに盛り上がった。
 
20.irony/「俺の妹」1期オープニング
 
 そろそろ時間切れも迫ってきたとき、ふと、この曲が歌いたくなったので。アニメとは関係なしに、この曲は本当に良い曲だろう。当時、中学生だったクラリスに、この歌詞をうたわせたというのもいい。2期の曲は、あまり耳になじまないけど。あの曲、「また新しい物語がはじまる」という最初のフレーズだけで終わってるような気がするんだが。
 あと、カラオケのPVも、フルコーラスに合わせたもので良かった。
 
21.男女/太郎
 
 そうそう、俺のニコ厨時代といえば、この曲だわ―、と歌ってみた。うん、女子中高生と一緒にカラオケ行っても、この曲は盛り上がるわー、と思ったものだが、AKBの曲をまともに知らない俺が、女子中高生とのカラオケで五分持つ可能性は低いし、そもそも、そんな機会がないし、仮にそんな機会があっても他の連中のリア充っぷりにムカツイて、ストーンズの「サティスファクション」を歌ったりするのが関の山なんだろうけど。
 
22.ウサテイ
 
 で、最後に選んだのがこの曲。うーん、なんで、この曲歌ったんだろう。、最後はニコ厨モードになってたとはいえ、どうせなら「おちゃめ機能」とか歌ったほうが良かったと思う。
 
 
 そんなこんなで、tawalarと充実したカラオケを満喫した俺である。
 この曲リストは、俺の世代や趣味だけでなく、俺の性格を知るうえでも役立つ資料になるであろう。「各アーティスト一曲」という謎の縛りを貫くべく、節操のないラインアップになってしまったところとか。