【二次創作】僕は友達が少ない ダークネス

 
 
 この記事は『僕は友達が少ない 6 (MF文庫 J)』の二次創作小説です。 
 
 
<登場人物紹介>

   
 【羽瀬川小鷹

 高2。隣人部部員。プリン頭。ヘタレヤンキー。友達が少ない。
三日月夜空】 

高2。隣人部部長。黒髪ショート。女狐。内弁慶。友達が少ない。 
 【柏崎星奈

 高2。隣人部部員。肉。ギャルゲーマー。理事長の娘。友達が少ない。
楠幸村】 

高1。隣人部部員。元「男の娘」。小鷹の舎弟。無口。友達が少ない。 
 【志熊理科

 高1。隣人部部員。発明家。腐女子。元「メガネっ娘」。友達が少ない。
【羽瀬川小鳩】 

中2。隣人部部員。小鷹の妹。自称「吸血鬼」。友達が少ない。 
 【高山マリア

 10歳。隣人部顧問。幼女シスター。ポテチ好き。友達が少ない。
 


 
     (1)
 
「小鷹、今日は部室に行くのか?」
 放課後、帰り支度をしている俺に、夜空が声をかけてきた。
「その予定だけど」
 なにげなく、俺はそう答える。
 『隣人部』という部活に俺は属している。部長の夜空によれば、「友達を作る」ことを目的とした部活であり、入部条件は「友達が少ない」ことである。おかげで友達がいないような、一癖も二癖もある残念な連中ばかりが集まるようになったわけで、ますます友達作りから遠のいているのが現状なのだが。
 ちなみに、俺は変人ではない。友達が少ないというのも、母さんがイギリス人で、その髪の色を不完全に受けついでいるからであり、ヤンキーとかんちがいされる外見はともかく、中身はまともな高校生なのだ。
「私は今日、部室に寄らないつもりだ」
 夜空はいつもの低い声色でそう言いきる。
「そうか」
「そうかって、小鷹はそれでも部室に行くつもりなのか?」
「まあな」
 俺が隣人部の部室に行くことに目的はない。まともな活動内容があるわけではないので、ヒマな部員がたむろして、好き勝手なことをしているだけだ。
 それでも、友達の少ない俺にとっては、隣人部部室は気楽に過ごせる数少ない快適な空間なのであって、だから、ついつい足を運んでしまうのだ。
「なあ、小鷹。私は隣人部部長だよな?」
「ああ」
 気づけば、夜空の顔が少し険しくなっている。
「でも、小鷹は部長の私が行かなくても、部室に行くわけだ」
「そりゃ、小鳩が来るかもしれないからな」
「そうだな、お前はシスコンだったな」
「悪いか?」
 俺の妹の小鳩は、某アニメのキャラクターになりきって、ゴスロリ服で学校に通うような、実に残念な女の子である。兄である俺としては、そのうち飽きるだろうと好きなようにさせてきたのだが、隣人部に入ってから、ますますその趣向に磨きをかけているのが悩みどころだ。
「兄としては、ああいう格好のおかげで友達がいない妹を、一人帰りさせたくないからな」
「ふむ、それが小鷹が部室に行く目的か」
 何やら意味深にうなずく夜空。
 そんなことを話していると、携帯がブルブル震えていることに気づいた。メール着信である。
 確認してみると、星奈からだった。
 
タイトル 今日は
本文 部室に行かないから、小鷹も帰っていいわよ
 
 いかにも星奈らしいメールだ。べつに俺は星奈に会いたくて、部室に通ってるわけではないのに。
「なんだ、肉も部室に寄らないのか」
 夜空が俺の携帯をのぞきこんで言う。
「そうそう、夜空もメール出したほうがいいんじゃないのか?」
 一時期は部員同士でこういう連絡をマメにしていたのだが、いつの間にか誰もそんなことはしなくなっていた。
「ふん。どうせ、肉は小鷹だけに送っているのだろう。私が見ていることも知らずに、あいかわらず、あさましい肉だな」
「でも、夜空は部長だろ? ちゃんと部員みんなに知らせるべきじゃないのか」
 得意げな顔をしていた夜空は、俺の言葉に「むむむ」とうなる。
「それはそうだが……小鷹はそれでも部室に行くのか?」
「ああ。小鳩がいるかもしれないからな」
「ふむ」
 なぜか満足そうに夜空は笑みをもらした。
「では、私は部員みんなにメールを送るとしよう。部長の私が欠席するとな」 
 
 
僕は友達が少ない ダークネス(2)