TMネットワーク時代の松本孝弘(B'z)動画
・Youtube - TM Network - Be Together (Live)
鈴木あみ(亜美)が1999年にカバーして、オリコンチャート一位を獲得した曲だが、もともと、小室哲哉率いるTMネットワークのライブ定番曲として有名だったのが、この「Be Together」
聞き覚えのある音色のギターが全編にわたって流れているが、これを弾いているのが、B'z結成以前の松本孝弘。
TM NETWORKには、いちおう、木根尚登というギタリストがいるのだが、ほとんどの曲において、彼のギターはフューチャーされていない。彼が得意とするアコースティック・ギターは、小室アレンジではあまり使われていないせいである。
踊りながら弾く、という難度の高いミッションをこなしているメインギターのTAK松本
いっぽう、ステージではフロントだが、何度聴いても何を弾いているのかわからないのが、サングラス木根
ついでに、鈴木あみのカバー・バージョン。
彼女のボーカルは、キレのいい歌詞をいかしきれていないと感じるのは僕だけか。
・Youtube - TM Network - All-Right All-Night
次の「All-Right All-Night」は、1987年発売のアルバム「Self Control」の先行シングル。小室哲哉が出し惜しみしないアレンジをしていた頃の代表曲である。
このライブ・バージョンでは、TAK松本のギターがうなりを上げるイントロが光る。TMの曲にしては、アップテンポな曲で、松本のパワフルなギターが、とことん、それを盛り上げている。
間奏部分では、TAK松本と、ベースの日詰昭一郎がフロントに出てくる。
左端の木根尚登は、弾いてる音も存在感もイマイチである。
・Youtube - イパネマ'84 - TM NETWORK
こう書くと「木根不要論」が出てきそうなのだが、もともと木根尚登というミュージシャンは、キーボーディストなのである。この「イパネマ'84」では、印象的な前奏のソロを弾いている。
小室が時々「テンポ、ズレてるぞ、木根」という感じで、チラチラ見ているのが印象的ではある。
それが終わると、TAK松本のギターが吹き荒れて、木根は地味にアコースティックギターをかき鳴らすだけになる。
いちおう、ソロでの見せ場はあるが、いかんせん、ボリュームが小さい。
しかし、TM NETWORKの結成までたどれば、木根がリーダーをしていた「Speedway」というバンドに、小室が加入したところから始まるわけだし、作曲者として木根尚登は、TM NETWORKというユニットに多様性をもたらした。
ライブでのギタリストとしては、TAK松本や、その後の葛城哲哉にメインをゆずっているけれど。
なお、この「イパネマ'84」は、デビューアルバムの「Rainbow Rainbow」に収録。
「海の向こう側でミサイルが飛んでいても、僕は水着の君に釘付けさ」という、なんとも能天気な歌詞は、政治的メッセージから一歩置くというTMネットワークの美意識であった。
その美意識が21世紀から10年たった今日でも受け入れられるのは疑問だが。
なお、タイトルの元ネタは、ボサノヴァの有名曲「イパノマの娘」からなので、ついでに紹介。
知っておくと、生涯で一度は役立ちそうな、世界的ヒット曲である。
無表情に口パクするアストラット・ジルベルト(人妻)萌えである。
・Youtube - Maria Club - TM Network
最後に紹介するのは、アルバム「Self Control」の実質的オープニング曲である「Maria Club」
TM名物、小室哲哉の自己満足率100%前奏のあとで、TAK松本を含めたメンバーのダンスが楽しめる。
何を弾いているのかわからない木根はともかく、TAK松本は大変だったと思う。
B'zファンにとって、こんなTM時代の松本孝弘は「黒歴史」と感じられるかもしれない。
しかし、TM NETWORKという時代を風靡したユニットのライブで場数を踏んだからこそ、自分が目指す音楽性を、素早く見抜けたのではないだろうか。
これらの動画を見れば、TM時代でも存在感を放っていたTAK松本のギターのすばらしさを再認識できるはずだ。
◆ おまけ
以降の動画には、TAK松本は出てこないので注意。
・Youtube - Time Passed Me By(夜の芝生) -TMN
あまりに木根尚登のことを悪く言い過ぎて、ファンに怒られそうなので、木根バラッドの代表曲「Time Passed Me By」を。
これまたアルバム「Self Control」に収録。
TM NETWORKといえば、ベスト盤の乱発が有名で、メンバーである木根ですら発売日を知らないケースが多いのだが、はっきりいってベスト買うぐらいなら、「Self Control」と「Human System」というアルバムを聴きこんだほうがいいと思う。
この曲の歌詞は、幼ななじみの少女が「女」に成長する姿を切ない眼差しで見る男の歌である。ノスタルジックあふれるナンバーといえるだろう。僕に幼ななじみなんていないから懐かしさもクソもないんですが。
この曲では、木根尚登のアコースティック・ギターが聴きどころ、と思ってたのだが、よく見ると別のギタリストがいる。これもまた、プレイヤーとしての木根尚登の存在意義が疑問視される動画となっている。
・Youtube - You Can Dance - SPIN OFF from TM
それでは、最近の(といっても五年前の)TMネットワークを。
個人的にTMベスト5に入る、初期の名作「You Can Dance」のパフォーマンスである。
といっても、TAK松本どころか、小室哲哉さえいない。
その小室の指定席では、帽子かぶったガキがやたらと調子に乗っているが、これが代役である浅倉大介38歳。accessやTM.Revolutionなどでヒット曲を量産した、松本孝弘に次ぐ、TMファミリーの成功者である。
なぜ、小室が不在なのかといえば、「原曲に忠実なオリジナル演奏」を目指した企画だからだ。
TMのライブといえば、小室の意向で冗長なアレンジになりがちなところがあり、3分を超える前奏なんてザラにあるのだ。それが、ファンには不評だった。
だが、そんなファンの不満の声に、かの小室哲哉がたじろくはずはなく「原曲と同じアレンジなんて飽きる」と常々公言していた。
そのために、小室公認で、小室抜きで行われているのが、この「スピンオフ」企画である。これまでに三回のツアーを行っている。
TMファンにとっては、こちらのライブのほうが楽しめるかもしれない。
なお、小室は自分の代役が浅倉大介でなければならないことを条件としたらしい。
まあ、指名しなくても、このノリを見るかぎり、無理やり押しかけてもやっていただろう。
サポートメンバーであり、ミュージシャンとしてもプロデューサーとしても成功しているのに関わらず、浅倉大介は自分が「TMヲタ」であることを主張してはばからない。おそらく、TMネットワークの、もっとも熱心なファンの一人であろう。
この動画では、木根はベースを弾いているが、かなり音が小さいので、全編にわたって弾いているかは不明。
もともと、浅倉大介はシンセベースの使い手で知られるだけに、木根のベース音は、曲の邪魔をしないボリュームに設定されているのかもしれない。
小室どころか、浅倉にもぞんざいな扱いをされている木根尚登カワイソスである。
・Youtube - We Love the Earth -TM SPIN OFF 2007
最後に「EXPO」収録の「We Love the Earth」のアコースティック・バージョンを。
歌詞・メロディ・曲調のすべてに小室哲哉節が全開のこの曲を、小室抜きでやっているというのが面白い。
個人的には小室節は食傷気味ではあるけれど、やはり良い曲は良いものである。
この曲では、宇都宮隆もギターを弾いているのだが、あんまり意味なさそうである。雰囲気作りみたいなものであろう。
弾ける、ということと、聞かせる、というのは別次元の話である。
まあ、この「スピンオフ」企画は、小室という妙なことばかり言うリーダーがいないから、楽しくやることがモットーだから、こういう部分も含めて楽しめる内容になっているんだけれども。