登戸ブルース(4) ―銭湯の価値

 
 銭湯の値段って、今どれぐらいか知っていますか?
 それぞれの条例ごとに決められているのですが、川崎市の場合だと、450円もするんですって。
 驚きましたよ。ただの銭湯ですよ。スーパー銭湯じゃないんですよ。
 
 気になって、銭湯の値段の移り変わりを調べてみることにしました。
 下のページは東京のものなので、川崎市とは異なりますが、参考にはなると思います。
 
http://homepage2.nifty.com/NG/sento/sento02.htm
 
1980年 195円
1990年 310円
1995年 350円
2000年 400円
2007年〜 450円
 
 うーん、210円ぐらいかと思ってましたが、はるか昔の話みたいですね。
 よく考えると、僕には銭湯に入った経験がほとんどなかったことに気づきました。
 漫画やアニメじゃよく出てくるんですけどね。お色気シーンを描くために。
 
 そんな450円の銭湯に、昨日も僕は行きました。十枚つづりだと4200円です。これまた微妙な値段です。せめて、十枚で4000円とか、十一枚で4200円とかだと買うんですけど。
 しかも、サウナがついているんですが、別料金で300円とられます。合計750円にもなります。こんなの、スーパー銭湯の値段ですよね?
 これまで三度、この銭湯に行ったのですが、この別料金サウナに行く人を一人も見ていません。それにも関わらず、サウナの中は熱気がむんむんしているみたいです。いろいろと無駄づかいです。
 なんていうか、営業努力っていうのを、放棄している感じがします。
 まあ、やったって無駄だと思ってるんでしょうけど。
 
 その銭湯には、洗い場の向こうに、大浴槽があります。これが44度に設定されているので、かなり熱いです。肌が真っ赤にはれあがるぐらいです。
 その隣には、二人しか入れないジェットバスがあります。こちらの温度計は46度をさしているのですが、大浴槽よりもぬるいです。
 そして、二つのシャワーの奥に、サウナとサウナ用の水風呂があります。サウナは別料金なのですが、水風呂は浸かれます。これが20度に設定されていて、とても気持ちいいのです。
 僕は大浴槽と水風呂を往復して浸かり、一時間以上、この銭湯で過ごしています。いやー、極楽極楽。
 
 さて、この登戸の銭湯、僕以外にどんな人が利用しているのかというと、ほとんどが中年男性です。40代から50代。たまに、学生らしき若い人が入ってきたりします。
 やっぱり、家族で銭湯に行くなんてことは、漫画でしかありえないみたいです。あんまり風呂釜が壊れたりってイベント、聞いたことないですからね。
 おそらく、隣の女湯も同じような感じだと思います。だから、いくら耳をすましても、キャッキャッなんて黄色い声は響いてきません。天井に鏡をしかければ、女湯がのぞけるはずですが、40代以上の方々の裸体しか拝むことはできないでしょう。こんな銭湯でのぞきなんて、ハイリスク・ノーリターンでしかありません。
 入ってくる数も、一時間で合計十人をこえるかどうかです(男湯限定)。僕の入浴時間は、だいたい8時から10時までですから、銭湯の混雑期であるはずですが、全然そんな気配はありません。おかげで、僕はのんびりと夢想にはげむことができます。
 
 それにしても、やはり、別料金サウナが気になります。もし、300円払えば、サウナを独り占めできるわけですよ。
 サウナといえば、北欧発祥ですが、北欧では家族でサウナに入る習慣があるみたいです。だから、ホームステイしたら、その家族と一緒に、裸でサウナに入るわけですよ!
 となると、娘さんも裸なわけでして、とある日本人留学生の人は、たまらずに勃起した、ということを話していました。うらやましいですね!
 
 だから、僕はサウナに入るたびに、北欧美少女の裸体を連想するわけです。北国でつちかわれた透きとおるような白い肌が、その高温の熱の中で赤みがかるわけです。もちろん全裸です。もう、想像するだけで勃起もんです!
 
 しかし、そんな妄想をして、日本のサウナで勃起したら大変です。まわりには、汗をだらだら流す同性しかいないわけですから、勃起=同性愛者確定です。
 おそらく、同性愛者の皆さんからすれば、サウナで勃起する僕に同胞意識を抱くでしょう。そして、それは僕の貞操の危機に直結するわけです。
 まあ、たいていのサウナはTVを流しています。そのおかげで、僕は北欧美少女の裸体に思いをはせることはなく、貞操を守ることができたわけです。
 
 そう考えると、誰も来ない、この銭湯のサウナなんて、妄想し放題、勃起し放題です。それどころか、その自己処理だってできるんです!
 サウナの自己処理っていうのは、男性の皆さんならわかると思いますが、かなり危険なことでして、下手すると死にます。
 あまり報じられませんが、世界中の男性が売春婦のオーラル・セックスで射精したときに、心臓発作で死んでいるんです。天にも昇る射精で、本当に天に召されちゃったわけですよ。
 
 逆にいえば、サウナオナニーは、心肺機能を鍛えるには、とても良い気がするんですけどね。
 と、その可能性を考えたときに、サウナ室が一望できる窓がついていることに気づきました。そう、入るのは別料金ですが、中を見るのは誰でもできる構図になっているのです。
 そんなところで、サウナオナニーなんてしてみたらどうなるか?
 同性愛者の方に「俺を誘っているのか」と思われること間違いなしです。いくら、心肺機能を鍛えるため、と主張しても、同性愛者の方には通じるはずがありません。これまた、僕の貞操は奪われてしまうわけです。
 
 と、下らないことを考えながら、一時間以上たっぷり銭湯に浸かってきました。こんな贅沢は、仕事をしていると出来そうにありません。今だからこそ、のんびりと、この至福の時間を味わっていたいと思っています。