「お金は銀行に預けるな」―株価に一喜一憂しない個人投資 (評価:A)

お金は銀行に預けるな   金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)

お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)

おすすめ度:★★★★★

2chコピペブログへの風当たりが厳しいらしい。「へいわぼけ」というブログの閉鎖騒動を調べるにつけ、お金とアフィリエイトへの理解力がない人々の多さに、暗澹たる気持ちになる。その人たちは、なぜ「ニコニコ動画」のような脱法サイトが、まかり通っているか知らないのだろうか。

【参考リンク】
http://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-252.html

TVをタダで見られるのと同じように、WEBも(接続料金を除けば)タダで見られる。TVと同じようにWEBにもお金がかかっている。その仕組みを知るためには、下の記事を読むのが手っ取り早いだろう。

【参考リンク】
やる夫がWEBデザイナーになるようです - (旧)ベア速(旧)ベア速

日本は「国家社会主義」であったと揶揄される。国民全員が豊かになれば、幸せになると信じていた時代があった。しかし、バブル経済が崩壊し、日本の国際評価は凋落し、日本人は資本主義社会の荒波に立たなければならなくなった。年金制度は崩壊し、国家を頼ることはできなくなった。
日本人の「労働の美学」は時代遅れである。汗水たらして働く意欲があっても、外国の安い労働力にはかなわないからである。ある人は、数ヶ月、日本の自動車工場で働き、残りを物価の安いタイで引きこもり生活を送っている。だが、それが許されるのはタイ政府次第だろう。経済的に、彼らのような「外こもり」はタイ政府に貢献していないからである。自国民よりも他国民を切り捨てるのが政治というものである。

【参考リンク】
「日本を降りる若者たち」−増加する「外こもり」の日本人 (評価:B) - esu-kei_text

国家社会主義」を引きずる日本の教育制度は「お金」に対する知識を高めようとしない。何しろ、教師にその知識がないのだから、教えようがない。今後もその状態は続くだろう。
一方、ニュースは「個人投資」の恐ろしさを毎日のように報道している。「サブプライム問題」などがそうだろう。

【参考リンク】
やる夫で学ぶサブプライム問題 - (旧)ベア速(旧)ベア速

本書の著者によると、書店に並ぶ、個人向け資産運用の本は、8〜9割は理論的に間違っているという。そんなウソがまかり通っている時代だからこそ、本書を読んで正しい知識を身につけたい。銀行にお金を預けても、銀行はそれを、土地の不良債権、儲からない第三セクター、押しつけられた日本国債などに運用しているだけなのだから。
本書を読んで身につくのは、年間5〜10%をプラスする方法にすぎない。「株で儲かる」などの本は「じゃんけん理論」にすぎない。みんなで500円出し合って、それでたまたまた勝者となった人が、もっともらしく書いているだけである。そんな甘い言葉に誘われない程度の知識を身につけるべきだ。30歳過ぎて、一つの株価に一喜一憂するのは、ちょっと恥ずかしい。「儲かった株」をいくら凝視しても、お金が儲かる方法は見つからない。
あと、女性の方は、ぜひとも、この本を読むべきだと思う。お金に対する正しい知識は、自分の子どもを安心して育て、しかるべき教育を受けさせる力の源となる。