ハルヒシリーズを語る(その4)

アニメ版「涼宮ハルヒの憂鬱Ⅵ」(時系6、放送14)のハルヒは本当にかわいいですよね。こういうハルヒをもう一度見たいぞ、と原作者に言いたい今日この頃。

さて、いまさらながらハルヒシリーズの人気の理由を探る駄文もこれで四回目となるわけだが、

涼宮ハルヒの憂鬱」というアニメが、深夜アニメを見る層以外を巻きこみ、ポピュラーな存在となったきっかけとして、二つの楽曲を無視するわけにはいかないだろう。


ひとつがエンディングテーマである「ハレ晴れユカイ

ふりつけもついているこのアニメは、youtubeニコニコ動画で評判となった。実際に踊る者の動画も公開された。
もともと「モーニング娘。」のファンの間で、ファン用のふりつけが開発され「ヲタ芸」と呼ばれるパフォーマンスにまで発展した。
その代表が、通称「ロマうか」

もはや宗教の儀式である。歌う藤本美貴を見るつもりなど、さらさらないみたいである。本末転倒と罵るのが妥当である。

しかし、彼らはこうして阿波踊りにも似た一体感を得ることができたのである。一人でも多くの人を「楽しそうじゃないか」と自分たちのコミュニティに引きこむのを目的として。

こういう「ヲタ芸」に生理的嫌悪感を抱く人は多いだろう。しかし、アイドルの振り付けだって似たり寄ったりなもので、特に子供たちはダンスに夢中になりたい年頃である。「ハレ晴れユカイ」のダンスは多くの子たちに「とても楽しそうなこと」と期待させることに成功しただろう。

もうひとつが、挿入歌である「God Knows...

文化祭のライブでハルヒが歌っているシーンで使われている。この曲で、ハルヒシリーズを知ろうと思い立った人は多いのではないか?
このアニメは本格的に作られている。手の指の動きも実際の演奏を忠実に再現している。
そして、ハルヒの表情。これは実際にボーカル収録する際の歌い手の顔を参考にして、かわいいとはいえないが美しい表情を描いている。
もちろん、楽曲の素晴らしさもある。とても挿入歌のために作られたとは思えない。
こうして、「なぜ、バニーガール姿で、この少女は必死になって歌っているのか?」という疑問とともに、「ハルヒ」というアニメに期待感を抱いた人は多いだろう。深夜アニメ、スニーカー文庫などの言葉に偏見を持っていた人にも「これは!」と思わせるものが、この曲にはある。

こうして、多くの人にインパクトを与えた「God knows...」は、このシーンのためだけの曲である。ちなみにライブではもう一曲「Lost My Music」も使われている。この2曲は、ライブ演奏を意識した、従来のアニメソングの域をはみ出した完成度の高さがあり、有線で流れても、ほとんどの人は、アニメの曲とは思わないだろう。

このような曲がたった1シーンのためだけに用意されたというのが、「ハルヒシリーズ」のすごいところで、この「God knows...」を収録した「涼宮ハルヒの詰合」はオリコン5位を記録してしまったらしい。

もちろん、楽曲の高さだけが、ハルヒ知名度を上げたのではない。「ハレ晴れユカイ」のダンスも、学園祭ライブシーンの完成度の高さも、製作スタッフのこだわりの賜物である。アイディアと予算がなければこの完成度は生まれない。結果として、youtubeでも、言語の違う外国人が、このライブシーンを使って、MADムービー、つまり二次創作プロモーションムービーを製作していたりする。

アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のヒットの理由には、このような着眼点の良さがあることを忘れてはいけないだろう。