そして、創価大学衛星だけが残った ー 1年前より悲惨な結果の小型相乗り副衛星
↑H2Aロケット17号機搭載図(引用元:http://www.youtube.com/watch?v=7_6HOqBkP2o)
5月21日に打ち上げられた「H2Aロケット17号機」には、金星探査機「あかつき」、ソーラーセイル実証機(宇宙ヨット)「イカロス」のほかに、4基の相乗り小型衛星が搭載されていた。
名称 | 大きさ | 所属 |
---|---|---|
しんえん (UNITEC-1) |
35cm立方 | 大学宇宙工学コンソーシアム |
WASEDA-SAT2 | 10cm立方 | 早稲田大学 |
ハヤト (K-SAT) |
10cm立方 | 鹿児島大学 |
Negai☆" | 10cm立方 | 創価大学 |
しかし、打ち上げから一週間たたぬうちに、創価大学の「Negai☆」をのぞき、早くも電波受信不能な状態に陥っている。
☞http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010052601000740.html
【追記】
鹿児島大学の小型衛星「ハヤト」の電波受信には成功したようです!
☞http://www.yomiuri.co.jp/space/news/20100602-OYT1T00848.htm
このような相乗り小型衛星の搭載は、今回が初めてのプロジェクトではない。
2009年1月23日に打ち上げられた「H2Aロケット15号機」にも、8基の相乗り小型衛星が搭載されていた。
うち6基が、大学や民間企業が開発したものだったが、半数以上の4基にトラブルが発生している。
☞http://www.yomiuri.co.jp/space/news/20090730-OYT1T00684.htm
これらのトラブルに関しては、ロケットの打ち上げならびに分離に原因があったわけではない。
JAXA公式サイトでは、今回の5月21日打ち上げの際の、相乗り衛星分離映像が公開されている。
http://www.jaxa.jp/countdown/f17/live/missionphoto_j.html
運用失敗の原因は、JAXAにあるわけではない、ということだ。
JAXAでは、大学や民間企業による相乗り衛星を公募している。
☞http://aerospacebiz.jaxa.jp/kogataeisei/ainori_index.html
相乗り衛星運用の成功率は高くないが、それはH2Aロケットの精度の低さを意味するのではない。
米国NASAが二度も失敗したソーラーセイル機の軌道投入にも、今回の打ち上げで成功させているのだ。
逆にいえば、それだけ、JAXAの技術の高さと、人工衛星運用の難しさを物語っているのかもしれない。
我々の生活に人工衛星は密接に関係するようになっている。
GPSはカーナビやケータイに搭載され、人々はそれを当たり前のように使いこなしている。
今回、打ち上げから一週間もたたぬうちに、4基のうち3基が電波途絶状態になってしまったが、この失敗を教訓にして、以降のプロジェクトにつなげてほしいものだ。
創価大学の学生に「我らの衛星だけ残った。大勝利!」と言われないためにも。
相乗り小型衛星の失敗を「H2Aロケットの信頼性の無さ」と世界に誤解されないためにも。
【関連エントリ】
☞ミク、宇宙へ! 「超電磁P」の打上げ現場レポート動画【ヘッドフォン推奨】
「ニコニコ動画」発の相乗り衛星プロジェクト「SOMESAT」代表(の一人)超電磁Pによる「あかつき」打上げレポート動画の紹介
【関連リンク】
☞JAXA|相乗り衛星の概要
JAXA公式サイト。今回の「H2Aロケット17号機」に搭載された相乗り衛星についての説明