「けいおん!」声優の生演奏、女子中学生ドラマー、キース・ムーン、古田たかし
アニメ中に流れる楽曲の良さも話題になっているガールズバンド・アニメ「けいおん!」
ひそかにWEBラジオ「らじおん!」では、出演した声優が楽器の練習にはげんでいて、ファンは「ライブが予定されているのでは?」と期待している。
そんな彼女たちの演奏が公開されたのが、「らじおん! 第15回」
⇒らじおん!第15回 前編+後編‐ニコニコ動画(ββ)
11:23から、「けいおん!」声優による「ふわふわ時間(タイム)」の生演奏が聴ける。
放送開始に合わせて楽器練習を始めたという声優たちのパフォーマンス。わずか数ヶ月で、きちんと最後まで演奏できるレベルに達したのは見事だと思う。まあ、これでライブをされても、客はどんな反応をしていいのかわからないだろうけど。
そんな「けいおん!」ブームにあやかって、Youtubeやニコニコ動画では多くの関連楽曲の演奏が聴けるのだけど、なかでもオススメなのが、女子中学生ドラマー山口千里。
まだ、12歳の彼女だが、目が覚めるドラムを叩いてくれる。将来有望なドラマーだ。
さて、ニコニコ動画で話題になったドラマーといえば、韓国の目立ちすぎドラマー。
退屈な歌謡曲なのに、2分以降から、ありえない激しいアクションで華麗なドラミングを見せてくれる。シンバルの位置が高すぎるなど、笑いなしでは見ることのできない動画である。
彼は「韓国のキース・ムーン」と呼ばれている。
キース・ムーンといえば、「ザ・フー」のドラマーとして派手なアクションで有名だ。様々な逸話を持つので、彼のWikipediaは、一度、読んでみてほしい。
⇒キース・ムーン - Wikipedia
洋楽を知らない人にも楽しめる「愛すべきドラマー」の象徴的存在である。
なぜか「レッド・ツェッペリン」の名づけ親でもあったりと、ロック史に欠かせない功績を持つ彼は、僕の一番好きなドラマーだ。
彼のドラミングは、「手数が多いのに、一発一発が重い」。これは映像で見ても明らかだが、音だけを聴いても、それを堪能することができる。
そんな彼の演奏を楽しめる「ザ・フー」のライブ動画を二つ紹介。
1967年のモンタレー・ポップフェスティバルより。「My Generation」はザ・フーのキャリアでもっとも知られる曲だ。RS誌曲ランキングでは第8位。
最後に、ザ・フーの代名詞であった「楽器壊し」のシーンが流れる。このロックンロールの悪しき恒例行事の始祖がザ・フーである。
「もったいない」「気が狂ってるとしか思えない」と感じる人もいるだろうが、むしろ、それでも平然と弾いているベーシストに注目すべきである。そう、この「楽器壊し」もまた、ザ・フーのライブコンセプトなのであったのだ。
なお、この後に登場したのが、ジミ・ヘンドリックスで、ギターを燃やすなど、今でも知られるパフォーマンスを残した。60年代とはそういう時代である。
キース・ムーンの最期のライブとなった「Kids are alright」の演奏より。
9分近くの長い曲だが、ザ・フーの魅力のすべてがつまっている。
音だけでなく、見るパフォーマンスでも盛り上げてきたザ・フーらしさが全開である。
キーボードのシークエンスに合わせるキース・ムーンが愛らしいが、ボーカルはマイクを放り投げるわ、ギタリストは風車弾きしまくるわ、ベーシストは冷静そうに見えて、変態としか言えないベースラインを難なくこなすわ、と、ドラムが目立たないぐらい盛り上げてくれる。
そして、最大のハイライトが6:40以降の展開である。ロックンロールのダイナミズムあふれる素晴らしい瞬間なので、どうぞ、最初から最後まで飛ばさずに見てほしい。
さて、キース・ムーンの死後も、ザ・フーは活動を続けている。
様々なドラマーを経て、現在のドラマーは、ビートルズのリンゴ・スターの息子、ザック・スターキーである。
それでは、ふたたび9分近くの長い曲「Won't get fooled again」を再び。
オアシスのノエル・ギャラガーも出演しているこのライブパフォーマンス。
ノエルのソロも見事だが、ザックのシャープながらもヘヴィなドラムにも注目してもらいたい。
実は、ザック・スターキーはオアシスのドラマーもつとめていたのだが「ザ・フーに専念する」という理由で、オアシスから脱退することになった。
そんな売れっ子のザック・スターキーは、キース・ムーンを師匠として育ったという。父のリンゴ・スターは「ドラムは親が教えるものではない」とザックを放任。そこで、リンゴ・スターを敬愛していた、キース・ムーンが彼に手ほどきをしたのだ。
リンゴ・スターというば、ビートルズの名声のわりには、あまり評価されていないドラマーである。
それを象徴するかのように、PVでのリンゴの扱いは時々ひどいものがある。
なぜか、ジョン・レノンの足元でタンバリンを叩くリンゴの姿に涙するのは僕だけではあるまい。
そんなリンゴのベスト・パフォーマンスが「Rain」という楽曲。
ただし、これはカラ演奏のPVなので、音だけに注目してほしい。
ポールのベースとリンゴのドラムが暴れまくる、ビートルズの楽曲の中でも一位二位を争う名アレンジである。
そんなリンゴ・スターらしさが味わえるドラミングといえば「Get Back」。
最後のビートルズのライブになった屋上コンサートで、その演奏を聴くことができる。
延々と同じパターンの繰り返すだけのドラムだが、この正確さと飽きさせないノリの良さこそリンゴ・スターである。
日本のドラマーで僕がもっとも好きなのが、古田たかし。
彼は小学生の頃からプロとして活躍したのだが、佐野元春に誘われ、彼のバックバンド「ハートランド」に参加して、その名をはせた。
この「Sweet16」のボ・ディトリー風のドラミングは、いつ聴いても興奮させられるものがある。
古田たかしは、佐野元春だけではなく、他のアーティストのドラムも叩いている。もっとも有名なのが、川西幸一脱退以降のユニコーンのドラムを任されたことだろう。
その後、ハートランドの長田進とともに、三人編成の「Dr. Strange Love」を結成し、ソロの奥田民生のバックバンドをつとめることもあった。
古田たかしのロックテイストだが、フュージョン系もこなすドラミングは、いつも聴いていて気持ちがいい。今も佐野元春をはじめとして、いろんなアーティストから引っ張りだこの名ドラマーである。
と、今回は有名なドラマーを紹介してみた。「けいおん!」を見た人の、何%かでも、こういうドラマーに興味を持ってくれたら、うれしいんだけどなあ。