縦書きで文章を書こう! ―フリーソフト「VerticalEditor」の紹介

 下のブログ記事には、共感できる部分が多かった。僕もこのような文章が書きたいものである。


 上記の、ブログは文章力を低下させる、という指摘は正しい。そもそも、執筆の発想は紙の上で行われるべきである。箇条書きにアイディアをまとめ、それに矢印を引っ張ることにより、文章を構成する。これを頭の中だけでできる人もいるだろう。しかし、僕は「意識の流れ」を目に見える形で記さないと、執筆する段階になると、ブレが出てしまう男である。気づけば、文章の着地点を見失ってしまう。
 ところが、毎日更新を前提としたブログとなると、気づけば、IEなどのブラウザを立ち上げて、直接文章を入力する機会が多くなる。そして、プレビュー画面を行き来しながら誤りを正し、問題がないと思えば、即公開。なるほど、時間は短縮できる。しかし、僕はこの手法で、数多くの誤字脱字を出した。そんな危険度の高い文章に読者が信頼を寄せるはずがない。
 やはり「Word」などのワープロソフトで文章を書き、それをコピー&ペーストして、公開すべきであろう。できれば、一度は印刷して、赤ペンで添削するぐらいのことはするべきだ。コンピュータ上では「どこを直したか」というのが見えにくい。また、執筆による興奮を、印刷された文章は沈静化させる。興奮状態で作られた文章は、誤解を招く恐れがある。
 だが、僕は「Word」が嫌いである。オートインデントやオートコレクトなど、ユーザを馬鹿にしたような機能の数々。紙に書くように文章を書きたいだけなのに「Word」はそれを「好ましい状態」とやらに勝手に変換する。「Word」で書く「あ」には「あ」以上の多くのデータが含まれている。僕が伝えたいのは「あ」だけにすぎないのだ。何だか、「Word」は使っていて信用できない。


 最近は「VerticalEditor」(http://truestories.hp.infoseek.co.jp/)というフリーソフトを利用するようになった。もし、ブログを始めて文章力低下を懸念する人は、このソフトで執筆することをお勧めする。


VerticalEditor」表示画面


 「VerticalEditor」はテキストエディタというより、ワープロソフトである。何しろ初期デザインが「原稿用紙」である。皆さんも、一度はブログで書いた文章を、原稿用紙状態で表示させてはどうだろうか? 恥ずかしくなることうけあいである。
 この「VerticalEditor」の魅力は、なんといってもページデザインの変更が容易であること。


↑初期状態で数多くのデザインが用意されている


↑大学ノートふうのデザインもあれば


↑台本ふうのデザインもある

 これらすべてが、ただの「XX.txt」形式で表示できる。もちろん、アンチエイリアス(文字をなめらかに表示する)も選択可能。

 行頭にピリオド「.」をつけることで、階層つきのテキストを作ることもできる。同じファイル内でありながら、メイン部分とアイディア箇条書部分をわけることができる。


↑このように二画面表示もできる

 検索では「正規表現」が使えるし、実に便利なフリーソフトである。バグもかなり解消されていて、IEなどのブラウザに直接入力するよりは、安定感が高いと思う(もちろん、利用者の環境による。個人製作によるフリーソフトはパソコン環境によってはうまく作動できないものが少なくない)
 自分の文章力を向上させたい人は、ぜひとも「VerticalEditor」を用いて、縦書きで執筆してみてはどうだろうか。いつもと違う表示形式だと、気づかなかった自分の文章の欠点が見えることもある。


 文章力向上にはいろいろな方法がある。アーネスト・ヘミングウェイは立ちながら小説を執筆したことがあると聞く。そうすると、まどろっこしい文章を書かなくなる。なるほど、ヘミングウェイの簡潔な文体は、立ちながら書いたことで生み出されたのかと感心した(ただし、明確なソースがないので、これは噂の域を出ない)
 多くの純文学作家は、文章をリライトする。ノーベル賞作家大江健三郎だと、第三稿・第四稿まで重ねるそうだ。同じ小説を何度も書き直すのである。リライトは文章の熱を奪い、説明的な文章を付加させる可能性もあるが、それだけ手間をかけると、作家が書いていて飽きない文章にはなる。
 まあ、大江健三郎の文体も良し悪しがあるので、何度も稿を重ねることが文章力向上の道とは言い切れないが、書き手が数日後に読んで「こりゃダメだ」と思うような文章を他の人に読ませるのは間違いである。他人に自分の文章を読ませたいならば、書き手側の明確な意思が伝わるような文章ぐらいにはしたいものだ。


【参考リンク】

VerticalEditor配布サイト
http://truestories.hp.infoseek.co.jp/