12月6日の日記:後楽園(偽)の紅葉に心奪われる
12月6日、仕事で後楽園(偽)に行った。
↑後ろに東京ドームが見える後楽園(偽)
なお、本物の後楽園は大都会岡山にある。
ただし、この偽者の後楽園も東京ドームよりは広い。
庭園なのでアトラクションはないが、マダムさんたちが「入場料300円でこんなに楽しめるなんてお買い得だわ〜」と笑みを交わすほど見ごたえのある庭園である。
僕は業者なのでタダで見たんですけどね。
この後楽園(偽)、正式名称は「小石川後楽園」という。
業者用入り口には石碑が立っている。
しかし、この石碑がトラブルのもとなのだ。
左側には「昭和十三年三月建設」とあり、右側には「大正十三年三月内務大臣指定」とある。
このおかげで、同僚二人が「へえ昭和十三年建設なんですね〜」「なにいってるんですか大正十三年ですよ!」と一瞬触発の事態になりかけていた。
こんなまぎらわしい石碑を一般入場口に設置してなくて大正解である。「あなた、○○大学を出ているのに昭和すらも読めないの!」「だから、大正だろが、目が見えねえのか!」とカップルが入る前から喧嘩をするのが目に見えている。
と、そんな後楽園(偽)であったが、12月上旬というのに紅葉は残っていて、それは実に見事な光景であった。
↑通天橋より紅葉を映す
昼休みに、スマホでパシャパシャ撮っただけで、こんな素晴らしい写真が撮れるのだ。
この朱色の橋、通天橋自体は、歴史を感じさせない単なる赤い橋なのだが、紅葉に染まることで、とんでもない風景が目に映る。
紅葉満開とは言いがたいが、それでも僕の目を潤すには十分だった。
というより、僕の適当な写真なんて実物にはとてもかなわない。
陽が射すたびに、こんな映像が眼前に広がるんですよ!
さて、この後楽園(偽)内で、僕がもっとも美しいと感じたのは、この紅葉。
お客様マダムとその美しさについていろいろ語り合った。
写真ではわかりにくいと思うが、紅葉を引き立てているのは地面のコケであろう。
四国の山中に育った僕は、紅葉なんていくらでも見てきたものだが、後楽園(偽)の紅葉は人間の手がかかった(水戸黄門が完成させた)庭園なのである。
自然の美しさを引き立てる仕掛けの数々が、この庭園には散りばめていて、見る者を飽きさせないのだ。
風流というのは自然に生まれるものではない。自然の力を借りて、人間が手間暇かけて、このような景色ができたのだ。
この後楽園(偽)には、ほかにも多くの見どころがある。
円月橋とか見栄えのいい建築物もあれば、
八つの板がかけられた「八つ橋」もある。
こちらは菖蒲が植えられいるらしいので、五月が見どころだろうか。
花札の「アヤメと八橋」を想起させる。
(と思って調べてみたら、花札のアレはカキツバタ(杜若)じゃないか、という説が濃厚らしいけど)
ただ、この時期は、朱色の橋「通天橋」周辺の景色に勝るものはない。
こうして、僕は文京区に住む人々に嫉妬する。
後楽園(偽)の年間パスポートは1400円。それさえあれば、四季の後楽園(偽)が楽しめるのである。これほどのゼイタクはほかにあるだろうか?
と、思ったときに気づいた。
僕の住む登戸の近くにも「生田緑地」があるじゃないかと。
登戸に住み始めたときはよく行っていたものだが、そのうち全然行かなくなった「生田緑地」。そのくせ、文京区に住む人々を嫉妬する僕は愚かではないかと。
僕がスマホ版マインクラフトで「画面は小さいし、ボタンは少ないからミスばかりするし、日本語変だし、あきらかにモンスターの挙動おかしいだろ!」とストレスをためながらネザー探索をしている間にも、生田緑地に秋が訪れ、そしてその景色は来年にならないと見られなくなったのである。
後楽園(偽)のような手のこんだ庭園ではなくとも、我々の身の回りにある自然がある。それを見落としているだけなのだ。なんともったいない!
たまには、スマホを見ずに、庭園探索を楽しもうではないかと思う。
そうそう、後楽園(偽)では、スマホで写真を撮りまくる人もいたし、一眼レフを持ってきている人もいたが、そんなカメラなんぞに頼らない人も多かった。
ここで掲載した写真を見ても、実物に勝るものはひとつもない。
ただ、写真は思い出の付箋なのである。
綾瀬風香さん(高2)の言葉をふと思い出し「そうだよ風香」とマジメにうなずくぐらい、後楽園(偽)の景色は美しかった。
ぜひとも皆さんも庭園巡りをしてみるといいだろう。
って、もう季節は冬だけど。