「けいおん!」にでてきたザ・フー(THE WHO)のオススメ曲10選(動画あり)

 
 
 二期けいおん第三話「ドラマー!」を見ていると、いきなりドラムの田井中律が、
 
 
田井中律
 
ザ・フーのDVDを見たんだ! キース・ムーンの」
 
 とか言っていてビックリした。そういう音楽的バックボーンを抜きにしたお気楽アニメかと思ってたのに。
 

 ということで、今回は「けいおん!」人気に便乗して、ザ・フーを知るのに、うってつけの10曲を紹介しよう。
 
 
The Who
 
 ザ・フー(The Who)は、1964年から現在でも活動を続けているイギリスのロックバンド。
 オリジナル・メンバーは以下の四人である。
 

 
 くわしくは、Wikipediaを参考に。
 
ザ・フー - Wikipedia
 
 
 なお、「けいおん!」の二人が見たDVDは、たぶん「The Kids Are Alright」だと思う。
 代表曲がすべて収録してた「映像ベスト」なので、アニメファンの人たちも必ずや楽しめる内容である。
 洋楽を聴いているのは、何もカッコつけてるだけではないことがわかってもらえるはずだ。
 
 

Kids Are Alright / [Blu-ray] [Import]

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(1)Who Are You

 

http://www.youtube.com/watch?v=l_FZVD5lsAw
・Who Are You - The Who
 
 最初に紹介するのは、「CSI: 科学捜査班」のオープニングでも使われた「Who Are You」
 みずからのバンド名をパロディにしたタイトルと、ポップだがパワフルなサウンドが楽しめるヒット曲である。
 発表は1978年。その年に急死した、ドラムのキース・ムーンが在籍した最後のアルバムのタイトルチューンである。
 そのためか、このPVでは、キース・ムーンの「顔芸」をめいいっぱい取り上げている。
 
 赤色に「KEITH」と書いている謎のTシャツだけで十分に笑えるが、三人での手拍子収録風景は必見である。
 モーグシンセサイザーによる自動演奏にも、なぜか反応してしまう、愛らしき、キースの魅力が楽しめるだろう。
(なお、歌がとことんヘタであるキースは、当然のことながら、コーラスには参加していない)
 
 その他、ギタリスト、ピート・タウンゼントの多才さも映し出されている。
 「ザ・フー」のほとんどの曲は、ピートの作詞作曲によるものだ。
 印象的なモーグシンセサイザーのプログラミングをはじめ、二番のピアノを演奏しているのも彼だ。ザ・フーのギターは決して目立ったものではないが、テクノ音楽に精通した彼のサウンドは、ポップ音楽に多大な影響を与えた。
 
 ベース・ギタリスト(not ベーシスト!)のジョン・エントウィッスルの演奏は、この曲では地味ではあるものの、その泰然とした様子は「英国紳士」を思わせる。
 そんなジョンの尋常じゃないベース・プレイは、後々紹介するとして、キース・ムーンのひょうきんな演奏にも平然としている彼の立ち位置は、多くの女性の人気の的だった。
 そんな彼は2002年に死んだが、ラスベガスで高級売春婦にオーラル・セックスをされている最中での急死であったことはわりと有名な話だ。ピートはその死に様に「男して、とてもうらやましい」とコメントしている。
 
 ということで、このPVでは、ボーカルのロジャー・ダルトリーがもっとも存在感がうすい。フロントマンとしてステージではマイクを振り回すなど、インパクト十分な彼だが、何しろ後ろの三人が目立ちすぎるのが、ザ・フーというバンドの特異なところなのだ。
 
 
 さて、ザ・フーは、レッド・ツェッペリンに比べると日本での人気はないのだが、それは、レッド・ツェッペリンが、ドラマーのボンゾが死んだときに「代わりのドラムなどいるはずがない」と解散したのに比べて、ザ・フーキース・ムーンが死んだのちでも活動を続けたことがあげられるだろう。
 
 ゆえに、キース・ムーンは認めてもザ・フーは認めない、という日本人は少なくないのだが、この動画を見れば、メンバーがキースを愛していたことがわかるし、その死後も活動を続けた理由もわかるのではないか、と思う。
 
 そんな、キース・ムーン伝説が知りたい方は、Wikipediaでもご覧いただきたい。
 
キース・ムーン - Wikipedia
 
 


(2)Summertime Blues

 

http://www.youtube.com/watch?v=v5gBaCusDeY
・Summertime Blues - The Who
 
 次に紹介するのが、ロックスタンダードともなっているサマータイム・ブルース
 
 もともと「サマータイム・ブルース」は、50年代を代表するロックンローラーエディ・コクランの代表曲だが、現在のミュージシャンが演奏するのは、ほぼ、ザ・フーのバージョンである。
 カバーがオリジナルを凌駕した好例の一つだろう。
 

http://www.youtube.com/watch?v=MeWC59FJqGc
 
 こちらが、エディ・コクランによるオリジナル・バージョン。
 このオリジナルとカバーの違いが、そのまま50年代ロックと60年代ロックの特色を映していると思うのは僕だけだろうか。
 
 


(3)Substitute

 

http://www.youtube.com/watch?v=GYfolfduGIA
・Substitute - The Who
 
 1967年のモンタレー・ポップ・フェスティバルから、「Substitute」である。
 あまりにも印象的でポップなイントロから、怒涛のキース・ムーンのドラムが楽しめる。彼の無意味としかいいようがないスティックさばきも必見だ。
 ザ・フーを代表するヒット曲の一つだが、このタイプの曲を、これほど破天荒な演奏をするのは、ザ・フーしかいないだろう。
 
 なお、この曲は日本では「恋のピンチ・ヒッター」というなんともいえないタイトルがつけられている。確かに意味は間違っていないが、このセンスのなさは日本人ならではといえる。
 「サブシチューツ」という語感よりはわかりやすいが、なぜ「恋の」とつける必要があるのだろうか。ただの「ピンチ・ヒッター」でも良いではないか。
 まあ、こんないかさない洋楽和訳は、別にザ・フーにかぎったことじゃないんだけれど。
 

http://www.youtube.com/watch?v=IQ9H9yE7F7Q
・Substitute - The Who
 
 なお、こちらがオリジナル・バージョン。ライブと聞き比べると、ザ・フーの魅力がよくわかると思う。
 


(4)My Generation

 

http://www.youtube.com/watch?v=ikjnfIYvXg0
・My Generation - The Who
 
 さて、ザ・フーでもっとも有名なのだが、このサビをひたすらくりかえす「マイ・ジェネレーション」だろう。
 この映像は、2分以降、演奏後に行われた恒例の「楽器壊し」が映し出される。なぜ、ギターを壊すのか、と驚きを通りこして、あきれる人もいるかもしれない。
 ギタリストのピートによると「ステージが終わるとき、ギターが残っていてはならない」という謎のモダン・アートを表現しているとのこと。
 このために、ピートは何百本もギターを買い替えるハメにおちいった。物質にも魂が宿ると考える日本人には「もったいない」「バチあたり」としか言いようがないが、このパフォーマンスのおかげで、ザ・フーが有名だったのも事実である。
 
 なお、後半で、ステージでの爆発が映し出されているが、これは、ドラムのキース・ムーンがメンバーに無断でしかけたもので、このおかげで、ピートは音楽家として致命的な難聴になったというエピソードがある。
 それを踏まえて、最初に紹介した「Who Are You」を見ていただければ、彼らの不思議な魅力がわかってもらえるだろう。
 
 ところで、ギターやボーカルが、ステージで楽器壊しにいそしむ中でも、涼しい顔をしてプレイしているベース・ギタリストのジョンだが、実は間奏では、ロック史上画期的な「ベース・ソロ」を披露している。
 
 下の他者のベース・プレイをご覧になっていただきたい。
 

http://www.youtube.com/watch?v=23_DLxLA6us
・My Generation - Bass Guitar Play
 
 単調なプレイだと思われるかもしれないが、間奏に入ると、当時のベーシストを驚愕させた「ベース・ソロ」を聴くことができる。
 ピッキング・プレイであることもあるし、この曲だけで、ザ・フーのベーシストの偉大さは伝わらないかもしれないが、60年代初期において、ジョンのプレイは他のロックバンドにはないサウンドをもたらしていた。
 
 ザ・フーのうねりのグルーヴは、目立ちすぎるキース・ムーンのドラムだけではなく、ピートの「リズム・ギター」と、ジョンの「リード・ベース」からもたらされたものなのだ。
 
ザ・フー(THE WHO)のオススメ曲10選(動画あり)<後編>